WORKS 施工事例
名古屋市
「やすらぎ」を求めた住まい
大学教授として、多忙な日々を過ごされるKさん。その地位や立場から、期待や責任を背負い、さまざまなプレッシャーと向き合う日常の中、唯一その緊張感から解き放たれ、本来の自分自身に戻れる場所が住まい。だからこそ、Kさんが住まいに求めたものは「やすらぎ」でした。
「私」を解放できる場所。求めたものは、やすらぎ。
Kさんにとってやすらぎとは何か。それはまぎれもなく家族と過ごす穏やかな時間、そして自分の趣味に没頭する時間に他なりません。こうした時間が心おきなく持てることで毎日が充実し、仕事にも集中して取り組むことができるのです。
つまり、Kさんにとっての住まいとは、どこよりも安らげる場所でなければなりません。住まいは、その人の生き方を映し出す空間である。そのことを、改めて強く感じることのできる一邸です。
目次
・家族の時間
・趣味の時間
・日本旅館をイメージしたゲストルーム
・5年かけて苦労した土地探し
・価値観を共有できるパートナーとの出会い
・設計の視点から
家族の時間
主張しすぎない空間が家族の時間を見守っている。
Kさんが求めた「やすらぎ」のひとつ。それは、家族の時間。Kさんが描こうとしたのは、家族の存在がいつも感じられる家です。
そこで、上階にはプライバシーに配慮した個室を配置し、下階を家族が集うパブリックスペースフロアとして設定。リビング、ダイニング、キッチンで構成されるパブリックスペースは、つながりのある空間としました。さらに、吹き抜けによって上階とのつながりも感じられる空間に。家族がどこにいても存在を感じられる住空間は、家族一人ひとりの安心感にもつながっているでしょう。
書斎は、Kさんの希望でリビングのとなりに。必要に応じて引き戸で区切られるようになっていますが、いつも開けたままだそう。
そして、やすらぎを醸し出しているのは、無垢材と塗り壁のやさしい素材感ではないでしょうか。「温度や湿度によって隙間が変化する無垢材の床は、木が生きている証。家が呼吸しているような、この感覚がとても好きです」。さらに、色を抑えた配色も、やすらぎを誘う一つの要因に違いないです。
主張しすぎない住まいを作りたかったとKさんは語ります。そこで、基調は落ち着きのあるベージュとダークブラウンに設定。窓から眺める自然の緑や花、インテリアで飾る小物などで、色を添えることで十分だとのお考えでした。空間の随所には、かつて油絵やトールペイントを教えていたという奥さんの作品も飾られています。そうした作品の数々も、Kさんがやすらげる要因でしょう。こだわりは、ライティングにも見てとることができます。間接照明を使用し、明るさを抑えた空間は、穏やかな雰囲気を引き立てています。
趣味の時間
もうひとつの「やすらぎ」は、趣味の時間。
音楽ルーム
ジャズピアノやドラムを演奏するKさんがこだわった音楽ルームは、反響に配慮し、何度も試行錯誤を重ね、作り替えました。
CDの楽曲に合わせ、演奏することもあるというピアノやドラム。Kさんはバンド経験もあるそう。
ワインセラー
ワインセラーを地下ガレージの一面に設置。温度管理されたワインセラーの中には、600本以上のワインが並んでいるそうです。各国別に棚を設け、整理されているそう。
ワインを知ったことで、自分で料理する楽しさも知ったとおっしゃいます。まさに、この住まいは、Kさんが緊張を脱ぎ去り、自分本来の姿に戻れるかけがえのない場所なのです。
日本旅館をイメージしたゲストルーム
傾斜地を利用したプランニングのため、地下を含めた四層のフロア構造になっています。
アメリカでの在住経験を持つKさん。海外では知人の私邸に宿泊する機会も度々あるそう。また、その逆に彼らが訪ねてくることもあるそう。こうしたご経験からか、外国の人が自然に溶け込める家、外国の人が泊まっても違和感のない家をめざしたと語ります。無垢材の床、塗り壁はもちろん、そのこだわりを端的に表現しているのがゲストルーム。将軍ルームと名付けたこの部屋は、まさに日本旅館を彷彿とさせる。外国の知人のためにテーブルと椅子がセッティングされています。国籍を問わず知人が気兼ねなく宿泊できるよう、家族のスペースとは別のフロアに設けたそうです。
家族のリビングには、アメリカ在住時代からの憧れだった暖炉を設置、穏やかな空間に優雅さを添えています。
5年かけて苦労した土地探し
Kさんが最も苦労されたのは、土地探しでした。斜面を利用して立体的な家にしたいとお考えだったため、なかなか決定には至らなかったそう。5年の歳月をかけ出逢えたのが、現在の場所。森に隣接しているため、ダイニングや中庭から、見事な借景が楽しめます。森と調和した植栽は、外からの視線を遮る役割を果たしています。木々の成長が楽しみに加わりそうです。建物に緑が寄り添い、ひときわ美しい存在感を放っています。
価値観を共有できるパートナーとの出会い
Kさんが住まいづくりにあたって、当社をパートナーに選んでくださいました。初めてモデルハウスを訪れた時、第一印象で惚れ込んだとおっしゃいます。他のメーカーのモデルハウスをご覧になった後、再度訪れ、ご自分の直観に間違いはないと確信されたそう。「毎日がとても充実している」と笑顔で語るKさん。その言葉が、住まいの満足度をありのままに表しているに違いありません。こうした思い通りの住まいを建てることができた喜び、思った以上の家に出会えた感動は、当社が住まいを通してお客様に感じていただきたいという願いでもあります。
住まいは、決して建てることで終わりではない。メンテナンスやリフォームも必要です。そのためにも長く付き合える信頼関係が不可欠な要素であることは間違いないです。20年後も、30年後も、いいと思える家づくり、そして出会えてよかったと思える家づくりを目指します。価値観を共有できるパートナーと出会うことで、自らの理想とする住まいを実現できます。いいパートナーと出会うことが、いい家づくりの近道でしょう。
設計の視点から
道路から控えて建っていることもあって、4層仕立てのK邸は対面から全体フォルムを望むことができます。
担当設計士は「ノッポな印象を避けるために、重心を下へもっていった」と語ります。
「5重マルをつけたいほど快適。悪天候のときに快適感がさらに増すのは、なぜ?」とおっしゃる奥様は「壁にはビニールクロス、床にはテカテカした合板のフローリングを貼るものと思っていました。それしか知らなかったんです」とも。10年近く大手ハウスメーカーの家に住んでいらしたことを踏まえてのお話です。
無機質なアルミサッシとは違った風合いの木製サッシ、無垢材の床、職人さんが仕上げたペンキの塗り壁。そんな自然素材が温度や湿度に感応しながら身体になじんでいくのでしょう。
外国からのお客様のためのゲストルームも備えています。
こうしたお客様にくつろいでいただけるのは「彼らにとっては見慣れた空間だから」とKさんはおっしゃる。
ネオクラシックとでも言おうか、ちょっと濃い目のフロアもヨーロッパではよくあるそう。
コートヤードを設けることで、隣接する雑木林を取り込んだ設計。「まるで森に暮らしているみたい」。多忙を極めるご夫妻がつかの間の休息を得て、英気を養われる家でもあります。
計画は高低差のある地形をいかしながら、第一種低層住宅専用地域、風致地区第一種などの建築制限をクリアすることがまず第一の課題。南に面した森を活かしたプランを意識したと設計担設計士。
正面から見る4層仕立て。
ガレージと玄関のあるフロアは地下室にあたり、その上に2階建て、神谷さんのご希望に沿って正面から樋が見えない工夫も。
外壁はスタッコラーストコテ仕上げ。RC打ち放し目地入れ+吹き付け、古レンガスライス貼り。
パブリックスペースフロアでは、リビング・ダイニング・キッチンのつながり方に時間をかけてプランニング。
とくにどの角度からも緑が望めることを意識した。外界からシャットアウトしたプライベート空間・中庭(コートヤード)もそのひとつ。
キッチンからヌックスペースを経て中庭を見る角度が、奥様の一番のお気に入りという。
「ここへ来て初めて、落ちたドングリの実から芽が出ることを知ったよ」とKさん。
自宅で仕事をされることも多く、書斎はたってのご希望でリビングとつながっている。
「家族の気配を感じながら仕事がしたいから。というよりも、このフロア全部が僕の書斎」とも。
先日訪れたアメリカからのお客様は、この書斎を「Picket Room」と呼んでいたそう。
ダイニングからリビングを見るこの大きな吹き抜け空間は圧巻。テーブルの向こうに見えているのが中庭で雨のかからない工夫がされています。
床はラーチにワックス仕上げ、キッチン隣接ヌック床は愛犬のこともあってタイル貼り。
頻繁に出かけられる海外の雑誌なども参考に。ヨーロピアンな雰囲気が漂うリビングキッチンから中庭を見る。
料理好き、キレイ好きの奥様のために収納はたっぷり。
工夫を加えて防音室(地下室)はピアノやドラムなどを楽しむスタジオ。メキシコからのゲストはサルサを。