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2024.01.11

小出兼久コラム

煉瓦物語/歴史からみる煉瓦の移り変わり

煉瓦物語/歴史からみる煉瓦の移り変わり

煉瓦は、人の手によって造られた建築材料のなかでも、最も古いもののひとつです。

数千年前のウルクの煉瓦建物群しかり、ギザのピラミッドしかり。組積造(そせきぞう)と呼ばれる建材を積み上げていくやり方は、おそらくもっとも簡単な建築方法でしょう。私たち人類の祖先は、そうやって、ビルのような直方体の建物や、ピラミッドのような四角錐の建物を建ててきました。組積造の建物で建材として使われてきたのは煉瓦のほかに、石、コンクリートブロックがありますが、ローマのコロッセオ、内壁にレンガの石積みが並ぶタージマハルなど、世界の美しい組積造の建物には煉瓦の組積造が多いです。
これは、煉瓦が最も古い建築材料のひとつであり、非常に長い期間、世界のあちこちで使われ続けてきたことと関係があると思われます。一般に量は質に比例するので、多くの建物があればそれだけ美しい建物も残されていることになります。そして、なぜ煉瓦がこんなにも人気であるのかと言えば、製造がしやすく、かかる費用も比較的安価で、耐久性が高く、メンテナンスが最小限で済むからです。つまり、利点がたくさんあるのです。
煉瓦は数千年前、粘土などの泥をわらや糞と混ぜ合わせて、それから、この混合物を太陽の下に干すことによって作られました。その後、煉瓦の製造方法は日干しから焼成へ、紀元前3500年頃には窯で煉瓦を焼く方法が、日干しに取って代わったと言われています。そしてまた時が経ち、煉瓦を特定の形にカットしたり、型を使って成形したりすることが可能になりました。このころには、煉瓦はもはや、青天などの天候や夏のみといった季節に左右されて作られるものではなくなりました。
ローマ帝国は煉瓦の移動式窯を生み出し、その助けを借りて、煉瓦製造のレシピを古代世界全体に導入したのです。このことは前回、英国に煉瓦が伝わった話でも書きました。
焼成煉瓦は煉瓦の普及を広く世界に勧めました。そのために煉瓦というと今日では、窯で焼いた粘土の混合物と思うのが一般的です。泥は煉瓦を作るために使用され、ローマより前の古代では、煉瓦は単に天日で乾燥されていましたが、この最も古い煉瓦として知られるものは、現在、紀元前7500年のものが既に知られています。
ところで現代の煉瓦の成分をみれば、コンクリートや砂、石灰、粘土入りガラスなども使われています。

煉瓦の色や硬さは、使用する原材料と焼成される温度によって決まります。そして、煉瓦のサイズについてはほぼ決まっています。これは、煉瓦積みというのが手動で行われるために、煉瓦のサイズは自ずと持って積んで良い、つまり手にフィットするサイズに落ち着いているのです。

煉瓦の種類

目次
赤煉瓦と化粧煉瓦
ケイ酸カルシウム煉瓦
艶煉瓦
耐火煉瓦
耐火煉瓦

煉瓦の種類それぞれに歴史があり、背景があって面白いなと思っていますので、ここで、もう一度煉瓦の種類について触れておきます。

赤煉瓦と化粧煉瓦

一般的に私たちがよく知る煉瓦は赤煉瓦で、これは品質に基づいてバックアップとして使用されることがあります。これは、二重構造を思い浮かべればよく、フェイスブリックという種類の煉瓦いわゆる化粧煉瓦が、一般的なバックアップ用煉瓦の前に使用されます。もちろん前も後ろも同じ煉瓦でもよいのですが、化粧煉瓦には多くの色があり、また、均一な表面の外観を持っています。耐久や耐候にも優れていて、例えば、氷点下の温度や湿気にどのように耐えるかに基づいて等級分けされています。

ケイ酸カルシウム煉瓦

ケイ酸カルシウム煉瓦は、粘土が容易に入手できない場所で製造されやすいです。

艶煉瓦

艶をかけられた艶煉瓦と呼ばれるものは、主に病院や研究所など、簡単な清掃とメンテナンスが前提条件となる建物の壁を造るのに使用されます。

耐火煉瓦

耐火煉瓦は耐熱性のある煉瓦です。このタイプの粘土には、高レベルのアルミナまたはシリカ、あるいは炭化ケイ素、ボーキサイト、ジルコン、ドロマイトなどの非粘土鉱物が含まれています。耐火煉瓦は炉、窯、暖炉などによく使用されます。

コンクリート煉瓦

コンクリート煉瓦は、コンクリートと砂の骨材を混ぜ、基本的な組立ライン方式で作られています。機械が特定の量の混合物を金型に注ぎます。型をよく振って気泡を取り除き、それから型を外し、湿ったままの煉瓦を合板に残します。パレットの配置には小さなエレベーターが使用され、フォークリフトのオペレーターがパレットを外に運んで乾燥させます。

煉瓦にも材料や製法でいろいろなものがあり、また、用途に応じて使い分けがなされたり、特別に色数やデザインが増えたりしています。それらについては、別の機会に詳しく見ていこうと思います。

著者情報

小出兼久

特定非営利活動法人日本ゼリスケープデザイン研究協会(JXDA)代表理事。ランドスケープアーキテクト(ASLA)。1990年代よりランドスケープにおける水保全の研究を始め、2003年の第3回世界水フォーラム京都会議では分科会「庭から水、世界を考える」を主催し、成果の発表と日本で初めてランドスケープにおける水保全の必要性を提唱した。2005年第10回ゼリスケープ会議(米国ニューメキシコ州)および低影響開発国際会議シアトル・アジア地域(米国ワシントン州)に日本から初めて出席。2010年には生物多様性国際条約フェア(COP10国際会議と併催)に出席し、以来、低影響開発の普及を目指して活動を続けている。ランドスケープアーキテクトとして雨の庭を実践した作品群は日本や海外で生物学的な受賞歴を持っている。

建物と庭のトータルデザインを手掛ける点でフロンヴィルホームズ名古屋とは考えがマッチし、特に煉瓦の家に関するプロジェクトに興味を持っていただき、コラムの連載が実現しました。
また、当社のフロントガーデンの一角に、日本初・名古屋初の「雨の庭」のモデルガーデンを施工していただきました。