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2023.12.08

小出兼久コラム

庭づくり計画についての基本用語をプロが解説!

庭づくり計画についての基本用語をプロが解説!

庭の計画についての基本用語とは、多くが馴染みのない言葉で、難しく感じる方もいらっしゃるかと思いますが、こうしたことを検討して庭が計画されていることを知ってください。また、別の機会にこれらの項目のうちいくつかを個別に、より分かりやすく取り上げてみたいと思います。

●アクセント:それ以外のデザインから故意に突出させた植物あるいは物体のこと。
●アクセス:建物へ/から、入る/出る、庭へ方法のことで、空間の組織作りやつなげ方の方法を含む。
●アレー:道路や通路の両側に大きな植物を均一に平行させて配置した整形式の植え込み。アクシスを強調する。
●アクシス(直線・軸線):フォーカルポイントというひとつの重要な場所へ可視的かつ物理的に続く一本の直線であり、その周囲ではすべてが整頓されている。主たるアクシスは通常、敷地内で最も重要な建造物の玄関や窓に対して垂直である。
●バランス:心地よい空間の構成をつくるための容積(ボリューム)、質感、色の配置について均衡がとれていること。対抗するもの同士の均衡がバランスであり、調和は共通の利益や目的によって同じ方向を向いて実現しようとすること。
●アシンメトリー:故意に左右の眺めのバランスをずらしたもの。
●シンメトリー(対称):左右のイメージが互いを鏡に映すような状態。あるいは車輪のスポークのように、共通する点を中心にして模様を繰り返していくこと。
●統一感:建築と地域の植生との間に、調和のとれたデザインに内在するある特性があること。
●骨格:庭や敷地の基本的あるいは骨格的な要素。建物や構造物、通路、フェンスと視覚に訴える植物などから出来上がる。骨格は休眠期になると特にはっきり分かる。
●フレーミング(枠入れ):好ましく見える一定部分を強調するために、囲んだり、周囲から遮断してから、故意に置かれた植物や物体の役割のこと。これは、フレーミングがないと目立たなかったり、障害となる要素によって損なわれてしまう場所につながっている可能性がある。
●ルーム(部屋):庭は外の部屋であるが、庭自体もいくつかの個別の部屋に分かれている。しかし、そのそれぞれの部屋どうしはつながっている。各ルームにはそれぞれの色の構成、フォーカルポイント、雰囲気があり、小さい空間を大きく見せる働きもある。
●フォーカルポイント:ある一定の距離をとって離れて眺めた時に、観察者が認知できる場所のこと。正面から見たとき、または正面かつ、つきあたりを見たときに決まる重要な場所である。フォーカルポイントは植物や装飾品、美術品などによって強めることができる。
●フォーマル(整形式):庭の様式。欧米で長年継承され続けてきた高度に様式化された庭園の様式を表す用語。米国には植民地時代に持ち込まれた。米国で整形式庭園というと、アクシス、シンメトリーとフォーカルポイントが最低でもひとつ含まれていることを意味する。一般にはイタリアとフランスで生まれた歴史的な庭園様式を示す用語としてよく使われる。
●インフォーマル(非整形式):整形式という庭の様式が幾何学的で、一見して法則性が分かる様式であるのに対して、その反対のアプローチによるデザインの可能性。米国の庭で非整形式と言ったら、アシンメトリー(非対称)、曲線状のライン、(フォーカルポイントというよりは)アクセントが含まれていることを意味する。
●ナチュラル(自然):人間の干渉がほとんどないかのように見える状態の庭。事実はたいへんな工夫が凝らされているが、「たまたまそこに出来てしまった」かのような感覚を与える。デザインおよび管理が最も難しいと言われることの多い様式。
●植栽計画:寸法におとした特定の場所のスケッチに基づく植え込みの計画。敷地内の建物、通路、すでに存在している植物と、これから使われる植物といった重要な要素が書き込まれている。植栽計画とは庭の青写真を意味し、計画と記憶を助ける資料として用いられる。

庭の計画に関する用語は他にもありますが、ひとまずはここまでで止めておきます。ひとつの庭にこれらの要素がすべて必要なわけではありません。しかし、基本的に、欧米の庭はこのような考え方から出来上がっており、私たち専門家はこうした事柄をひとつひとつ熟慮して計画をし、庭を作り上げています。

著者情報

小出兼久

特定非営利活動法人日本ゼリスケープデザイン研究協会(JXDA)代表理事。ランドスケープアーキテクト(ASLA)。1990年代よりランドスケープにおける水保全の研究を始め、2003年の第3回世界水フォーラム京都会議では分科会「庭から水、世界を考える」を主催し、成果の発表と日本で初めてランドスケープにおける水保全の必要性を提唱した。2005年第10回ゼリスケープ会議(米国ニューメキシコ州)および低影響開発国際会議シアトル・アジア地域(米国ワシントン州)に日本から初めて出席。2010年には生物多様性国際条約フェア(COP10国際会議と併催)に出席し、以来、低影響開発の普及を目指して活動を続けている。ランドスケープアーキテクトとして雨の庭を実践した作品群は日本や海外で生物学的な受賞歴を持っている。

建物と庭のトータルデザインを手掛ける点でフロンヴィルホームズ名古屋とは考えがマッチし、特に煉瓦の家に関するプロジェクトに興味を持っていただき、コラムの連載が実現しました。