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WORKS 施工事例

家の中心にキッチンのある、都会的な家

名古屋市

家の中心にキッチンのある、都会的な家

ウナギの寝床の敷地

最近は子供たちが独立した後、二人だけの暮らしに戻ったご夫婦が、自分たちの生活をより楽しいものにするために新築されることも多い。
今回ご紹介するKさんのお宅はそのパターンでした。
住み慣れた前の家の近くでの土地探しから始まりました。なかなか思うような土地が見つからず、この土地も間口が約8m、奥行き約30m、比率は1:4と家を建てる条件としてはなかなか難しいものがありました。

土地の特徴を活かした設計

「この土地で明るい家が建つかどうか」というご相談を受けた設計担当は一日の太陽の動線を追い、描いている構想をもとに「だいじょうぶです」とお答えしました。
この円筒形のファサアードはかなり個性的。「ありきたりの家なら建てたくなかった」とおっしゃるKさんにも気に入っていただいたデザインです。

曲線デザインの家

木造の場合、曲線を出すことは手間もかかり、技術的にも難しいものです。壁面もさることながら、円形の基礎、円形に乗せる屋根などそれぞれの職人さんが苦労したにちがいないです。
大工さんは「一生のうちで一軒くらいはこんなのをやってもいいかな」と初めて図面を見たときに闘志をわかせたそう。
機能とデザインとどちらを優先しているかといえば、Kさんのお宅はデザイン優先の数少ない家でしょう。

設計プランとインテリア

ドーム状の建物の向かって右に玄関。左手には中庭とも言えるデッキへと続きます。このデッキは玄関ホールに面しており、玄関を入ると明るい光が注ぐという趣向。
また、明るい家にするためにダイニングの天井の高さを8mに。キッチンと向かい合った西面にも計9個の窓をレイアウトしています。
設計担当はラフスケッチを描きながら、さまざまな提案をするなかで、Kさんと共に既に白のイメージを造り上げていました。
それを途中から受け継いだインテリア担当はそこをはずさないように提案していくことに気をつかったようです。
ある部分予算のことを考えないでいいものを選んでいく傾向にあり、プロが自信をもって進めるものならOKというKさんのスタンスはそれはそれでプレッシャーだったそう。
基本的にいいものは高いという認識ができていらっしゃったのではないかとも思われます。この家を取材に来たインテリア誌のライターは「おしゃれなブティックみたい」と開口一番。
「それを使えばおしゃれになるの?」というKさんのご希望に添って完成した家は、お友達にも自慢できる完成度の高いインテリアとなりました。
家具もどんなものが似合うか提案してほしいということで担当が東京まで出かけて家具リストを作成。そうして選ばれた家具がレイアウトされたK邸。
床はK邸で初めて使ったイエローサザンパインにワックスがけ。

照明計画

ほとんどを間接照明でまかなったお宅でもあります。
唯一の照明器具はアイランドの上にある卵型の小さなペンダント。これはイタリアのデザイナーによる作品で白があると思っていたらなく、インテリア担当が着色を試みた苦心の作。目立ちすぎず、この空間のなかでさりげなく存在感を主張している照明器具です。
それぞれのパートをそれぞれの専門職人が手がけていることも特長の一つ。造作の一つとして造るのではなく、キッチンはキッチン屋さんが造っていることも収まりがきちんと出来ている理由。
シャープさが問われるこうしたデザインの家では専門家にゆだねることも大切なことの一つです。

白くてミニマムなキッチン

「家の中でいちばん気に入っているのが、このキッチンです」
もともとオープンキッチンを愛用していて、使いやすさを肌で感じていたとか。
「新しいキッチンではぜひ、アイランドスタイルにしてみたかった。シンプルなインテリアが好みだけれど、ありきたりなデザインではちょっともの足りなくて」
そんなKさんの好みをお聞かせいただき、担当設計士が一緒に考えたアイランドカウンターは、まるでブティックのディスプレイのよう。
天板はベージュ色の大理石、ダイニング側には小さなニッチをリズミカルに配してインテリア的な演出を。
裏のキッチン側にまわれば、引き出しが一面について機能性も十分です。
壁側のレンジと冷蔵庫の奥には、ランドリーを兼ねたパントリーも併設し合理的に。
「家事をしないときにはリビングやダイニングから眺めても違和感がない。生活感を出さないキッチンにしたかったんです」とKさん。
子どもたちも独立して、もう戦場のようなキッチンは必要ないというのがKさんの考え方。床材、壁材などの素材も無難にならないように、大型の調理機器も機能はもとより、デザイン性とインテリアとの調和に徹底的にこだわりました。
そのかいあって、訪ねてきた友人にお茶をいれたり、食後にご主人と軽くお酒を飲んだりする生活シーンがいっそう楽しくなったそう。そんな情景をおしゃれに照らし出すのが、カウンターの上で揺れる繊細なペンダントライトです。常識的にダイニングテーブルの上につけずに、あえてカウンターの上に。
「LDK全体は好みのシンプルなダウンライトで統一して、このペンダントライトを唯一のアクセントにしてみました」

それが、アイランドカウンターをインテリアの主役にさせた絶好のスポットライトになりました。
シンクの前の出窓は、太陽の動きに合わせて光が入るように角度をつけて、「午前中から午後まで明るい日射しが入って隣の庭の緑も楽しめ、水仕事も苦になりません」
シンプルに徹したくて家具は最小限に、それが似合う空間だからできること。
光がたくさん入るように窓に工夫を凝らした明るいダイニングキッチン。
キッチン流し台の前にある白いレンガ部分は、カルチャードブリックタイルに白のペンキ塗りに。少しごつごつした感じが残り、味のある壁面となりました。
古びた倉庫などに見られるこの手法もK邸ではじめての試でした。
壁と同じ色に塗った「GE」の冷蔵庫。その奥には炊事と洗濯が並行してできるようにパントリー兼ランドリースペースが。ゴミ箱などはこの場所に置いている。
2人の子どもたちが小さいころ活躍したフルーツポンチ用の大きなガラスボウルが、新しい家の雰囲気にマッチして再登場。

カウンターのダイニング側には小さなニッチをリズミカルに配してディスプレイスペースに。
ダイニングの縦長の窓の間の飾り棚には、愛蔵のガラス器を。ボイルレースを使ったブラインドが爽やかに太陽の光をコントロール。
LDKの中で唯一のペンダント照明は、アイランドカウンターの上に設置。
キッチンに機能や実用性が求められる一方、リビングを一体化したおしゃれなキッチンも需要があります。リビングの主役としての存在感が十分なK邸のキッチンはまさに時代を先取り。
設備機器とデザイン性と建材の美しさにもこだわって作られたオープンキッチン。
ドイツ「ガゲナウ」のステンレストップのガスバーナーを選択。右は36cmの中華鍋も使えるハイカロリーバーナー。
シンクにはアメリカ「コーラー」のハンドシャワーを設置。野菜を洗ったり、シンクを掃除したりと、小回りがきいて便利。
小型の置き型の電子レンジとIH炊飯器を棚におさめ、アルミのシャッターで目隠しを。
ジャンボサイズ(762×533cm)のホウロウシンク、混合水栓金具はハンドシャワーと同じく使い慣れた、「コーラー」製、シンク底用の破損防止ネットと、スライド式のまな板もセットで。
アイボリーからベージュへ。微妙なグラデーションが美しいキッチンから、リビングを眺めて。
食洗機は、主婦の憧れドイツの「ミーレ」のものを選択したのは、機能性や丈夫さだけでなく、半分の量の食器でも洗える省エネ設定が気に入ってのこと。
大理石のアイランドカウンターのテーブルトップをくりぬいたパーティシンクは、ふたをつけて。
  

洗面室

ここでも美しい照明が意図されており、ワイドなミラーにはカットを入れて柔らかな光が漏れてくる工夫をしています。
また、洗面化粧台の下も脚を少し浮かせてそこに照明を入れています。
ホテルなどでこうした間接照明の手法は用いられますが、ダイニング・リビング側から見るとこの照明の放つ光はとても美しい。

曲線壁の部屋

中はどんな風になっているか空想をかきたてるドーム状の一階は和室。和紙を張った壁は曲面ですが、畳は半畳サイズの正方形。設計担当としては南面の限られたスペースに和室を持ってきていいのかという迷いがあったそう。離れ感覚の個性的な和室に仕上がりました。この和室の上はマスターベッドルーム。外観写真に見られるマスターベッドルームの小さな窓にはあまり目立たないステンドグラスが入っています。