WORKS 施工事例
岡崎市
アジアンリゾートを感じる家
洋館の扉を開ければアジアンミュージアム
閑静な住宅街の一角にある、明治のころの洋館をイメージして建てられた家。
アプローチの階段を上りどっしりとした木の玄関扉を開けると、出迎えてくれたのは黒光りする素朴な木のベンチと大きな甕にざっくり投げ込まれた豊かな緑です。ベンチの上には古い背負いかご、足元にも年代を感じさせる木彫りの雑器が。ヨーロッパ的な雰囲気を持つ外観とは打って変わり、まるで洗練されたアジアンリゾートのホテルを訪ねたかのような演出に意表をつかれます。
プリミティブアート
素朴な中にも研ぎ澄まされた感性と造形美を感じさせるそれらの古美術品は、プリミティブアートと呼ばれています。絶妙のコーディネートで飾られて、あたかも私的美術館といった風情。
「これまでのマンション住まいの反動で、この家では存分に飾ることを楽しんでいます。ゴチャゴチャしないように家具なども最小限にして、本当に気に入ったものだけを選んで飾るようにしています」と奥様。
素敵なご夫婦に出会ってアジアン骨董に開眼
すばらしいコレクションのお宅ですが、新居の建築中に、隣の市内で骨董店を営むご夫妻に出会ったことがきっかけでプリミティブアートの魅力を知りました。自分が惚れ込んだ古美術だけを扱うその店では、数多くはありませんがアジア・アフリカの逸品が充実していたとか。価格は決して安くはないものの、品物の質の高さと存在感は圧巻。また、骨董をインテリアに生かす卓抜したセンスにも共感したそうです。
「素敵なご夫婦で、、こんなふうにに暮らしを楽しめたらと憧れました。この出会いがなかったら、ここまでのめり込まなかったかもしれません」
最初に虜になったのは、ご主人です。もともとアフリカのブラックミュージックを愛好し、凝り性でマニアックに追求するタイプ。これまでも古い扇風機やトランクをコレクションしたこともあり、古い道具の温もりには魅せられていました。戦後まもなく建てられた古い家に育った品代さんも、骨董や古いものにはすでになじみが。たちまち、ご夫婦共通の趣味となり、第一級のプリミティブアートが、完成した新居を彩ることになりました。
さらに、突きあたりの廊下に、階段の踊り場に、2階のホールにと、アジア・アフリカの木のものや古い壺、手織りの布などの饗宴は続きます。
2階のホールには、アフリカの椅子とタンザニアの木の水くみを飾って。中南米のキリムを敷いたり、アジアの古い布を手すりや壁にかけたりと、多彩な布あしらいも見事。
存在感のあるアジアとアフリカの骨董
シンプルな住まいに温もりを添えています。
リビングコーナーは、白いソファにチークの古材のコーヒーテーブルで。アフリカの草ビロードを額装して、絵画のように。
「イデー」で購入したぽってりしたカップ&ソーサーも、受け皿をココナツにかえて、よりアジアンに。
重量感と味わい深い彫りに魅せられた江戸時代の鉄の香立ては、目下ふたりの一番のお気に入り。行きつけの骨董店「渡辺」で購入。
「東京カンカン名古屋店」で見つけたチークの古材とアイアンで作ったシンプルシックな棚を、テーブルサイドに。
アジアの鉄器、バリの木彫りの小箱、鉄製の香立て、アフリカの木像、古伊万里の鉢などをバランスよく飾る。
すっきりした韓国たんすのパンダジから、アジアン骨董に入門したそう。ネパールの建具の一部とドライフラワーをオブジェに。
テラコッタタイルの玄関では、枝を投げ入れた日本の甕や背負いかご、フィリピンの木のベンチ、動物をかたどったアフリカの木の枕などが迎えてくれる。
階段の踊り場には、アフリカの階段がそびえる。もともとは「渡辺」のご主人のコレクションで非売品だったのを、頼み込んで譲ってもらった。
足元には素朴なネパールの石像、タロイモのふくよかな葉をアクセントにして。
室内のコーナーには必ずお気に入りの家具でしつらえた「見せ場」がある
置き敷きの畳コーナーがある1階のお母さまの部屋。和だんすと米桶の間にカフェチェアをはさんでアンバランスな感覚を楽しむ。
カントリータッチのブリキの水くみに穂を挿して。少し軽い雑貨感覚のものも加えて、雰囲気が重くならないようにバランスをとって。
廊下の隅や階段の踊り場などに意識してディスプレイ。
パブリックスペースがゆったり設計されているので、ひときわ雑貨の飾り映えがあります。
そのテクニックは、小住宅やマンションでも十分参考に。比較的小さなスペースを、シンプルにメリハリをつけてディスプレイするのが成功のポイント。
じっくり考えてふたりの意見が一致するものだけを購入するのが唯一の決まり。買って帰った日は包みをほどくのももどかしく、どこにどういう組み合わせで飾ろうか検討が始まるそうです。
一般的には、インパクトが強く重厚なイメージのアジアやアフリカの骨董。ところが、しっとりとしたした白い塗り壁に幅広のパイン材のフローリングと、質感豊かな矢島家のすっきりした空間の中ではさわやかささえ感じられます。コーナーごとの演出はシンプルですが、ひとつひとつのものに存在感があるのでストーリーが感じられ、見ごたえも十分。
「ドロドロしないように、清潔感は大切にしています。必ずどこかに花や緑を添えるようにするのが我が家流。古い器を使うと、自己流の花でも上手に生けられるような気がしてうれしいんです」
奥様はガーデニングにも夢中。庭ではバラやハーブなども育てています。素朴で武骨なアンティークの器は、その丹精込めた草花の格好のステージにもなっていたわけです。特に習ったことはないそうですが、花あしらいのセンスもなかなかのもの。日頃からデコレーションを研究しているうちに腕前も磨かれたのでしょうか。暮らしを楽しむ奥様の豊かな感性が、アジアンテイストのインテリアを生き生きとしたものに仕上げています。
室内ディスプレイ
決して広くはないけれど天井が高く開放感があるベッドルーム。インドコットンのベッドカバーと名古屋「スーディア」で購入したサイドテーブルで、さりげなくアジアを意識。
ディスプレイした雑貨がいつも眺められるよう、まるで外国みたいにトイレの戸は使用しないときに開け放しておくのが習慣。ゆったりしたスペースにアジアの雑貨をワンポイントで。
シンプル&ナチュラルな洗面所は、タオル置きにしたバリ島のアタの平皿とトケイソウを飾ったジョウロが印象的。
アフリカの泥染めの細いベルトは、小さなサイドテーブルのセンターに使ってみた。
プリミティブ好きにファンが多いコンゴ共和国のクバ族の草ビロード。ネパールのアイアンの人形をコーディネートして、アフリカの草原をイメージさせる光景を創作。
アジアの骨董で花あしらいも楽しみます。
鉄の水くみに庭のオールドローズとトケイソウをからめて。古い鉄器やかご、木のものなどの深い色合いは、フレッシュな花や緑をいっそう引き立ててアレンジの腕が上がる。
手仕事
ベトナムの古い織物は繊細な手仕事に惹かれるなど、「手仕事のふぞろいさ」がお好きだという奥様。
手仕事という点で、フロンヴィルホームズ名古屋での家にも共通しています。工場で組み立てられて短期で完成するハコとは異なり、設計段階から人が直接関わって、多くの職人さんの手が加わって、丁寧な工程を経て完成する家です。
シンプルとは?
建物自体は「シンプル」をテーマにしたY邸です。
「私はこだわっていません、シンプルな家が建てたいのです」「予算がないのでシンプルにしました」という使われ方をするが、これは、Yさんの意図されるシンプルとはちょっと違います。
Yさんがイメージされていたのは明治時代の洋館で、年月を経るごとに味わいの出てくる建物。
「新建材で建てた家のやつれ方は気持ちよくない。古さを楽しめる家を」と、話されるYさんの話を聞くうちに、初めて応対した当社スタッフの目が輝いてきたという。その日の帰途、「あの人たちと一緒に家づくりをしたいね」とご夫妻で話されたそうです。
室内のほとんどはペンキ仕上げで、質感のある白のキャンバスが広がっている感じ。そこに、お気に入りの骨董や小物を選んで置く。無駄のない洗練された空間、これがYさんや私たちの考える「シンプル」に近いのでしょう。
「今どきの輸入住宅」のような外観デザインではなく、Yさんが望まれたような、目立たないけれど見る人が見れば心惹かれる建物。外壁は全体を「しっくい」でというご希望でしたが、家を長持ちさせるという意味からも下部の「しっくい」はおすすめしませんでした。
レッドシダーのザラザラした裏面を表に出して貼る予定でしたが、迷われた結果、表面を出すことに。たってのご希望で、車庫を建物に組み込み、扉には木製内部ドアを用いています。しっくい壁が汚れてきたら、それはそれでYさんの好きな風合いなのです。