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健康な庭づくりのためのヒント【第16回 庭づくりは骨格づくりから始まる】

健康な庭づくりのヒントも16回を迎えます。

これまで庭の骨格について話してこなかったので、今月は庭づくりのまとめの話をします。

庭というのは外の部屋です。アウトドアリビングとも言います。
家の外にあるもう一つの部屋、それをどう飾るのか、そこで何をどう楽しむのか。
庭は、そうしたことをひとつひとつ考えてつくるもので、そうすれば失敗をすることがありません。

一般に部屋は、床と柱と天井から出来上がっていますね。では庭はどうでしょうか。
庭にも床と柱と天井があります。
庭の床は、ウッドデッキやレンガ、石、コンクリートあるいは芝生などでできていて、
庭の柱というのは、樹木や建物の壁、塀やアーチがそれにあたります。
天井は青空のまま天井がないとも言えますが、樹木の樹冠(キャノピー)が大きくせり出しているのならば、それが天井ということになります。あるいはパーゴラのてっぺんも天井にあたります。

床と柱と天井、この3つで庭という空間はできています。ですから、庭の計画というのは、家を建てる計画ともシンクロします。
庭の床を何でどう作るか考えましょう。
柱という垂直面をどうするか考えましょう。
天井はあるのかないのか(樹木を植えるのか)考えましょう。
と、それらはつまり、家を建てる時と同じように庭をつくるときも考えましょう、ということに他なりません。

植物は、床と柱と天井という庭の骨格の中に植えられて育つものです。庭の主役というのは植物であるのですが、その主役が輝くためには舞台背景が大事で、そのための骨格をきちんとつくることがとても大切になります。
床をどこに張るか、柱をどこに置くか。天井としての樹木は必要か、それから植物を植える場所を考えます。庭のなかのどこに植物を植える空間を置いたらいいでしょうか。
その場所では何が育つことが可能か、どのくらいの大きさが必要か。どういう形でどのくらいの大きさにしたらよいのか。決めることはたくさんあります。
逆に言えば何を植えるのかは、最後の最後に決めることでよいのです。

大事なことは、敷地に全体のデザインを落とし込むことです。
そのために、庭の骨格である柱=建物壁や樹木、塀など、床=デッキ、レンガのポーチ、コンクリートの駐車スペース、芝生、小道、天井=樹木などについておおよその約束事を知っておくとよいのです。ここでいう約束事というのは、その庭を維持し続けるためのリスク管理=これが「無理」だということを知っておいて最初から無理なことはしないこと、バラバラにとっちらかった印象を与えないために整理すること、安全上の点から知っておくこと、管理しやすいように管理手間を減らすためのノウハウ、などです。

私は専門家ではないから全体の計画についての知識は必要ないとか、植物を愛でるのが楽しみでそれ以上難しいことは興味がないとか、そういうこともあるかと思います。
ですが、この、大きな枠組みから、大きな骨格から決めていくのだというやり方を知っておくと、良いことはたくさんあります。全体の計画に思いをはせること、常に全体を意識すること、これは無理をしないやり方なのです。

例えば、
草花が好きで庭をいじっている方もいるでしょう。
ハーブが育てたくて庭づくりをはじめようとする方もいるでしょう。
温室が作りたくて庭を造る人も、デッキが作りたくて庭を造る人もいるでしょう。

草花を育てている人はその場所と育てている草花が合っているか。
育てた草花が「映えて」いるか。
管理しやすいか。
などを改めて考えれば、今はこうでも次からはこうしようという変更点が見つかるはずです。
ハーブを育てたくて庭づくりをしようとする方も同じで、自分の敷地にはどのハーブが合っているのか、を調べて合うものを植えるとよいのです。もしも、育てたいハーブを環境が無理でもなんとしても育てるのだとしたら、なにが必要か。鉢植えにするか、温室にするか……ここから、配置や形、管理のための小道や種類などさまざまなことを考えていくでしょう。

ここで本当に全体を見る視野が必要なのです。現状の把握と言い変えてもかまいません。
全体像を意識しながら、変えられる点は変えていくことが費用も時間も結果的には節約します。そしてどうしても、変えられないことがあります。その点について自分で知っておくことが健康な庭の維持につながります。できないことというのは、各庭ごとに、敷地ごとに異なるものです。

例えば一度、床にレンガを敷いてしまったら、付け足すことはできても移動することはほぼできません。どうしても移動をしたかったら新しく計画をし直して、改装計画を立てなければなりません。ですから、もしもあなたの庭がまっさらだとしたらそれは希望に満ち溢れた空間ということになります。新しく庭をつくるということは、本当に楽しみなことなのです。

次回には、庭づくりのルールを少しだけお話しします。それは「床」についてです。

=追伸=

お庭の相談を受け付けますのでご遠慮なく。

小出兼久 ランドスケープアーキテクト,ASLA, 岡山県立大学非常勤講師

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Email. k.koide@docomo.ne.jp