資料請求

健康な庭づくりのためのヒント【第13回 ベジタブルガーデンの計画-1】

【第13回 ベジタブルガーデンの計画-1】


コロナ禍で外出ができなかったこともあり、自分で野菜を育てることの味わい深さを発見する人が増えています。新鮮さや店売りの野菜では味わえない風味を楽しめるという喜びを求めたガーデナーや、異国の野菜や自分で栽培するより他に手に入れることのできない変種を育ててみるチャンスと感じたガーデナーもいれば、潜在的に危険性のある化学薬品によって作物が汚染されていないから、という理由で有機栽培を始めたガーデナーもいます。かくいう私は、野菜の豊かな葉の色や形に魅了されたひとりです。育てるたびに、野菜の葉にも緑だけでなく紫や斑入りもあることが分かり、大きな緑の葉のレタスの後ろに霧のように細かなディルやニンジンの葉が茂る光景が気に入り、よく手入れのされた野菜畑というのは草花のボーダーガーデン同様に美しいと感じています。お店に行けば、用土も肥料も病害に対する抵抗力を備えた栽培種も手に入り、自らの手で種を播き、育てるのもよいのですが、始めるための敷居はだいぶ低くなった気がします。苗から植えても十分に楽しめるような充足感を誰もが味わうことができます。
ベジタブルガーデンのデザイン どんな庭の大きさでもいいですし、デザインもどのようなものでもいいですが、独立した菜園の形に花壇と統合させる形態かどちらかを選び、作業のしやすい大きさにまとめるのがよいです。奥行きが60cmを超えるならば、こちらとあちらの両側からアクセスできるようにするのがよいでしょう。 また、質の高い野菜を作るには環境が大切で、そのためには次の3つを整えることが必要です。

1)場所選び
2)防風壁を設置
3)土壌肥沃度や排水性の改良

今回、次回の2回かけて順番にみていきます。
1)場所を選ぶ 野菜はほかの植物より短命ですが、栄養分を欲しいままに成長します。そこで理想的な生育条件とは温かい気温、太陽光(一部日陰)、肥沃な土、排水性と適切な水分の供給が存在することとなります。選ぶ場所は日なたが良いですが、最近の厳しい気象では、日なたが続く場合の水やりのことも考えなければなりません。木の下は適していません。また建物も影をつくり、野菜を傷める風の通り道をつくったりするので建物の側はさけるとよいでしょう。 2)風からの保護 野菜栽培でもっとも気をくばることのひとつは、風が吹き抜ける場所をさけることです。ほんの少しの風でも収穫を20~30%減少させることがあり、強風にさらされる場所では、惨々たる結果になることがよくあります。また、沿岸地域では乾燥や風が運んでくる波の花によって菜園の農作物が被害を受けることがあります。
防風設備 風による被害を防ぐために防風設備を造ります。このとき、固い壁よりも透過性が約50%はある材料にして風が通過できるようにします。生垣、ラチスフェンスや板塀、防風ネットによるスクリーンなどが適しています。生垣はとても魅力的ですが、欠点もあり、苗木を植えたのでは成熟までに長い時間がかかり、成熟したら剪定などの管理が必要です。また場所の大きさに応じて樹種を選ぶ必要があります。そこで、小さな庭ではフェンスやラチス、防風ネットを支柱や杭に縛りつける方がより実用的となります。 防風設備の有効距離範囲は高さの大体5倍の長さです。全く障害物のない吹きさらしの庭では、必要な高さは約2m、この場合、ネットや支柱は高い位置を吹き抜ける風の中で引っ張られるため、頑丈でなければなりません。これより低い防風設備にするなら、農作物の畝や植え床の間に一時的でも風よけを据え付けるとよいでしょう。高さ45センチで防風ネットを取り付けても、これはこれで利用価値が高いです。 2)肥沃度の管理 砕けやすいローム質が野菜の栽培には適しています。植物に必要な栄養分に富み、ミミズの数が増えて微生物による有機質分解を助けることができ、土壌の構造がよく不利な条件に置かれても耕作が可能です。また、湿気の多い季節に土がくっつきやすくなったり乾燥する季節にほこりっぽくなったりすることもなく、常に砕けやすいので空気がたくさん含まれている状態にあります。これは地中にすむ生物や野菜の根にとって重要なことです。理想的な土壌は、排水性が高く保水性があり少し酸性ぎみ(pH6~6.5)の土で、これでほとんどの野菜はよく成長し追肥もあまり必要になりません。

腐葉土や堆肥を利用する 作物は絶えず土壌と自然分解する有機質から栄養分を吸収します。そのためベジタブルガーデンでは、有機質を補給して肥沃度を維持しなければなりません。上のような土をつくるためにも、厚さ8~10cmの有機質の層を毎年地表面に足してやり続けます。これで、土壌の構造と肥沃度を保つことができます。腐葉土や堆肥を地表に広げ、土を掘って混ぜ込んでやります。特に、秋に有機質を地表に広げてやるとミミズがもぐり、その中で働きはじめるようになります。できるかぎり深く、均一に土壌全体に行き渡るようにします。この作業については第12回および第2回の記事も参考にしてください。

次回へ続きます。

=追伸=

お庭の相談を受け付けますのでご遠慮なく。

小出兼久 ランドスケープアーキテクト,ASLA, 岡山県立大学非常勤講師

BLOG :http://koidekanehisa.thyme.jp/koide/
Email. k.koide@docomo.ne.jp