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小出兼久の煉瓦物語 【第35回 2022年の住宅トレンド 】

小出兼久の煉瓦物語

第35回 2022年の住宅トレンド ~キッチンからミニマリズム~

米国における2022年の住宅トレンドを紹介する3回目は、

次の6.キッチンから10.ミニマリズムまでについて、説明をします。

2022年の住宅設計におけるトレンドTOP10

1.持続可能性
2.健康な家
3.多機能性
4. バスルーム
5.アウトドアリビング
6.キッチン
7.家具は曲線の家具が好まれる
8. 在宅勤務のための仕様
9.ヘリンボーン
10.ミニマリズム

6.キッチン

新型コロナウィルスの流行は、私たちの日常を新しい日常へと変え、あちこちにその影響を波及させました。建物とそれを取り巻く空間がコロナ禍を経てどう変わったのかは、前回のバスルームやアウトドアリビングの項目を参照ください。

その波は、キッチンにも及んでいます。外出制限などの憂き目にあって、キッチンは、今や家の中にある新しいエンターテインメントのメッカ(聖地)のひとつであるというのです。米国の煉瓦企業ACME BRICKは、その証拠として、ダブルアイランド(島型)キッチンを、キッチンで最も注目されているデザイントレンドに取り上げました。

アイランドキッチンというのは、それまで壁面にくっつくように取り付けられていたキッチンを開放型の対面式の、さながら島のように配置したものをいいます。それを2つの島の形で設置するのがダブルアイランドキッチンです。

ウォールストリートジャーナルは、ダブルアイランドキッチンについて、1つは食事を準備するためのもので、もう1つはパーティなどの集まりと娯楽のためのものであると述べています。「島を二重にしたことでディナーシアターの要素があります」と、シカゴのデザイナーのマーシャル・エルブは述べています。また、新聞は次のように付け加えています。「パンデミックが私たちの生活に影響を与え、台所の方程式を変えました。非常に柔軟なスペースの需要が高まるにつれ、ダブルアイランドは『専業主婦、学校教育、料理、食事の場』になりました」
このトレンドはディナーをショー(エンターテインメント)にし、そしてそこに新しい意味を与えることになる、とACME BRICKは結んでいます。

7.家具は曲線の家具が好まれる

「パンデミックによって、好まれる家具の形も変わりました。すなわち、私たちの生活には柔らかさが必要だというのです」

この見解が、曲線美を持つ家具が非常に多く用いられているというインテリアデザインのトレンドについて、十分な説明をしているのかもしれません。ある出版物は、曲線的な家具の魅力について次のように述べています。「柔らかいエッジ(縁)の家具や装飾は、女性的で寛容です。部屋にロマンチックな雰囲気を与えながら、アングルピース(※建材を補強するアングルのこと)のような人工的で無機質な直線を補完することができます」

丸みを帯びた家具もまた、近代から復活したトレンドですが、今回流行っている曲線美には、豪華なC字型のソファだけでなく、ソフトなエッジのテーブルから再考された近代に流行した椅子まで、何でも含まれています。 また、1970年代のレトロな外観への回帰も家具でみられるトレンドの1つです。焦げたような濃いオレンジ、モスグリーンのような温かみのある提案が、新進気鋭のインテリアを明るくしているといいます。

8. 在宅勤務のための仕様

同じくコロナ禍で2020年に始まった在宅勤務へのトレンドが勢いを増しています。一部の人々が実際のオフィスに戻ろうとしている今にあっても、米国でこのトレンドは続いています。設計者が提唱するのは「ホームオフィスにはさまざまな形と大きさがあるが、その目的はあなたのスペースをあなたのために機能させることだ。したがって、自分のオフィスを設計しようとするのなら、機能性も実用性も大事だが、美観も同様に重要であることを忘れないといい」ということです。今では、1つの空間に多機能、多目的を持たせることは日常的になっていますが、それでもオフィスの主役は自分であることを忘れない空間づくりが必要だと考えます。

9.ヘリンボーン

フローリングほど家の機能性を示す要素はほかにないと言っていいでしょう。フローリングのヘリンボーンパターンというのは、なんでも、ローマ帝国で最初にその記録がみられるそうです。これはなんとも昔から、人々はフローリングもヘリンボーンパターンも好んでいたという証左ですね。まさに時代を超越しています。

曲線的な家具がもてはやされ、近代家具が再度脚光を浴びる中で、ヘリンボーンパターンのフロアも、ホットなトレンドになっています。この傾向はしばらく続くとみられます。ヘリンボーンパターンだけでなく、幾何学模様の床全体が、2022年の家の装飾のトレンドに戻ってきています。成功するフローリングについていえば、パターン(張り方)に凝るなら色は抑え、形に話をさせることです。とはいえ、建材特に木材は引き続き不足しています。

10 ミニマリズム

ミニマリズムも、それが登場した1990年代後半から今なお人気を誇っているトレンドですが、家のデザインと装飾の中で、ミニマリズムのポジティブな視覚的影響をどう称賛し、どう取り入れるのか。それは設計者にとって大きな課題であるでしょう。
ある意味面白い試みとも言えますが、それは部屋の多機能性を引き出すために、部屋の中心的な目的を強調することでもあります。そうすることで、基本的な日常の使い方、雑用に簡単に集中できるといいます。

小出兼久 ランドスケープアーキテクト,ASLA, 岡山県立大学非常勤講師

BLOG :http://koidekanehisa.thyme.jp/koide/
Email. k.koide@docomo.ne.jp

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