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小出兼久の煉瓦物語 【第34回 2022年の住宅トレンド 】

小出兼久の煉瓦物語

第34回 2022年の住宅トレンド ~健康な家からアウトドアリビングまで~

米国における2022年の住宅トレンドを紹介する2回目は、

次の

2.健康な家 から

5.アウトドアリビングまで

について、説明をします。

2022年の住宅設計におけるトレンドTOP10

1.持続可能性
2.健康な家
3.多機能性
4. バスルーム
5.アウトドアリビング
6.キッチン
7.家具は曲線の家具が好まれる
8. 在宅勤務のための仕様
9.ヘリンボーン
10.ミニマリズム

2.健康な家
住宅とは私たちが日々健康的に暮らすための基盤であり、だからこそ家自体が健康であることはとても重要で、トレンドの2番目に挙げられるのももっともなことです。

もしも新築の家に入ると目がちかちかしたり、気分が悪くなったり、咳やのどの痛みが生じたり……となるのであれば、これはシックハウス症候群の代表的な症状です。この症状は、ホルムアルデヒドという揮発性の物質が、家具や建材の接着剤、塗料などに100μg/㎡以上の濃度で含まれていると起こりやすいもので、ホルムアルデヒド自体は、それこそ多くの建材や家具に含まれる物質なのですが、2003年の改正建築基準法ではその使用に制限が設けられています。そのため、JISやJASの基準に従っていれば、その住宅はホルムアルデヒドが拡散されにくい造りとなっています。ですから、ここで改めて気を付けたいのは輸入家具・輸入建材などです。

また、それ以上に「健康な家づくり」としてホットなトレンドがあります。それは、現在の新型コロナウィルス禍と無関係ではありません。最近はその対策となる多くの新製品が、設計者や建築業者から提供されているのです。

2022年にホットな建材や設計をいくつか挙げておくと、まずは、家庭内に広がる可能性のある病原体の数を減らすタイルがあります。Microban®を使用したPROTECT®セラミックタイル製品は、バクテリアの代謝をブロックします。また、Landseaというビルダーは、空気の質を上げ、呼吸の健康を可能にする、「家全体」を空気清浄機としてとらえた住宅を提供しています。アメリカ建築家協会の最新の住宅設計動向調査によれば、コロナウィルスのパンデミックが、今も私たちの生活空間に強力な影響を及ぼし続けているのはあきらかですが、一方で、他の自然災害も住宅に影響を及ぼしており、協会の四半期ごとの調査では、屋外空間を自然災害に強いものへと改善することや、バックアップ発電機の整備、ハリケーンに強い設計など、安全機能に対する需要が急増していることも示されています。

3.多機能性

多機能性、すなわち複数の機能を空間に持たせるということは、パンデミック後により顕著なものとなっています。なにしろ空間には限りがあるので、今ではひとつの目的のために使われる使い捨てのスペースというのは過去のものとなり、建築とデザインの進歩は、ひとつの空間を多機能ルームにするための気の利いたアイデアを提供することが期待されている、とデザイン雑誌は述べています。

この多機能性は家具にも当てはまります。また、オフィスと運動スペースを兼ねる試みは、住宅でも行われています。写真は住宅のパーソナルオフィスにフィットネス家具をうまく落とし込んだ例です。

4. バスルーム

コロナ禍にあって米国で大きく変化した空間がふたつあります。ひとつは、バスルームです。Houzz誌の「Bathroom Trends」調査によると、それまでひどく退屈であったバスルームは変わりつつあるのだそうです。

例えば、ニューヨークの建築家であり、Architecture&Design社のインテリアデザイナーでもあるアダム・ロールストンは、最近はバスルームがブームだと言います。バスルームは、日々の生活を過ごすにあたって重要な場所となっており、そのサイズは、過去と比べて約10〜15パーセントも増加していると、彼は言います。デザインとしては、たとえば宮殿のようにエレガントなリビングスペースとして装飾する向きが多く、懐古趣味と前衛主義を混ぜ合わせたようなものがトレンドで、ロールストンの最近のプロジェクトでも新古典派の木工製品をタイル張りの壁と組み合わせています(※写真はまた別の作家の作品)。

5.アウトドアリビング

コロナ禍ではソーシャルディスタンスが話題です。その影響もあって、米国の住宅では屋外でバーベキューなどの「料理の喜び」が見直されています。住宅に付帯する屋外空間(アウトドアリビング)は、まさしくエンターティメント空間として、熱狂的に歓迎されています。
American Institute of Architectの2021年の調査では、アウトドアリビングはトップトレンドであり、回答者の屋外スペースの需要は昨年と比較して61%から70%に増加していました。

この傾向は2022年も引き続いています。この調査では、屋外の空間を家の内部まで持ち込むことで、「2022年は自然に触発された外観からさらに一歩進んで、本物の緑をもたらす」と示唆されていますが、この傾向は2023年も続くとみています。

小出兼久 ランドスケープアーキテクト,ASLA, 岡山県立大学非常勤講師

BLOG :http://koidekanehisa.thyme.jp/koide/
Email. k.koide@docomo.ne.jp

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