資料請求

小出兼久の煉瓦物語 【第8回 煉瓦の建物のさまざまな美しさ】

小出兼久の煉瓦物語

【第8回 煉瓦の建物のさまざまな美しさ】

煉瓦の建物はわざわざ探しにいかなくても、多くの国で当たり前のように見ることができます。それでも国ごとに、あるいは、同じ国でも時代の移り変わりとともに、建築様式は変化します。このさまざまな建築様式を見比べることも、現代の建築まで煉瓦建物がどう変わってきたのかをみることも、どちらも私にとって興味深いです。耐久性を持つ煉瓦という素材で建てられているからこそ、今日も残り、私たちに在りし日の栄光やその陰にある物語を伝えてくれる、それこそが煉瓦建物の魅力であると思います。

ナボイ劇場
中央アジアの中心地、ウズベキスタンの首都タシケントに、ナボイ劇場というビザンチン風建築のオペラハウスがあります。これはソ連時代に着工されたもので、総床面積1万5000㎡、1400席の客席有する煉瓦造りの3階建ての建物です。

ソ連がレーニンによる政権樹立を宣言したのは、この劇場の建設が始まってからのことでした。そしてこの劇場は、1917年11月7日から革命30周年の年にあたる1947年11月までに建設することを決定して工事を進めていました。しかし、その間に第二次世界大戦が勃発します。劇場の工事は、土台と一部の壁、柱などがつくられた状態で止まってしまいました。そのため、大戦終結後に、日本人捕虜を活用して革命30周年に間に合わせることを命題とし、建築に適した工兵として、457人の日本兵が強制的に派遣されたそうです。一方、ソ連の捕虜になった日本兵は合計60万人とも言われ、満州で捕虜となった日本兵は通常、シベリアなどで森林伐採や道路・鉄道の建設に従事していたそうです。このことから、この劇場建設の任務がいかに特殊業務であったかが分かると思います。いつか機会をみつけて訪れてみたいです。

ロンドンの煉瓦住宅の街
変わって、現代の煉瓦建物でも注目しているところがあります。イギリス・ロンドン特別区のロチェスターウェイに、煉瓦造りの住宅と地ビール醸造所を持った開発があると知りました。この計画は、グリニッジ評議会が所有する開発者・メリディアンホームスタートのために建てられたもので、街は29戸の住宅で構成され、地元で働く人々は割引家賃で入居できるそうです。

住宅は、エルサムのロチェスターウェイとブリセットロードの間にある3つの歩行者専用道路に沿って配置されています。この開発は、ピーター・バーバーアーキテクツによって設計されたロンドンの最新の住宅計画であり、その目的は、現代の都市生活に適した新しいタイプの住宅を作成することにあります。

※日本においても発信していきたい煉瓦住宅。煉瓦住宅に興味のある建築事務所の方々、日本でのプロジェクトに参加してくれる方々、ぜひ連絡を頂ければと思います。

煉瓦の美は建築の表現力である

建築は建物を建てることであり、ある種の表現をするものです。ですから、歴史主義と現代への道という決別が、表現主義としての建築を通して起こるのは当然と言えます。最も印象的な形は煉瓦の表現主義で、シンプルなクリンカーレンガからどのような建築形態を生み出すことができるのか、それを見るといつも驚きしかありません。煉瓦には驚くべきデザインの可能性があり、称賛するほかないとしみじみ思います。直線(直方体)から生み出される曲線や螺旋のなんと優美なことでしょうか。

プレーリースクール

アメリカの煉瓦の美を語るときに欠かせないのは、プレーリースクールではないかと思います。プレーリースクールというのは、19世紀後半から20世紀初頭に現れた建築様式のことで、特に米国中西部で、最も一般的に見られます。このスタイルにはいくつかの特徴があるのですが、例えば水平線(水平を強調したデザイン)、広い張り出しの軒のある平らな屋根、あるいは逆にひっくり返った屋根、水平の帯にグループ化された窓、風景との統合、堅固な構造、職人技、装飾の使用におけるルールなどによって特徴づけられています。このうちの水平線は、アメリカ(特に中西部)の原生風景であるどこまでも続く草原の、広くて平らで樹木のない広がりを呼び起こし、建物と外を関連づけるものとなったと考えられています。室内にいてどこまでも続く草原が見える、室内に居ながらにして家の中と外を一体に感じることができる、しかし、実は窓の内側にいて自分たちは安全である……プレーリースクールとはそのような設計です。

写真は、イリノイ州オークパークにある建築家フランクロイドライトの自宅とスタジオをシカゴアベニュー側からみたところです。

小出兼久の設計研究室では、庭の相談の他、あなたの庭の大きさに合わせたピザ釜の制作も承っております。

燃料(薪・木炭・ガス)に応じて釜の構造が異なりますので、詳細は打ち合わせください。(地域の法令で可能な燃料を使用いたします)

窯の大きさは直径30cmまでのピザなら焼くことができるもので、設置場所、デザインなどは庭に合わせたオーダーメイドです。お気軽にご相談ください。

小出兼久 ランドスケープアーキテクト,ASLA, 岡山県立大学非常勤講師

BLOG :http://koidekanehisa.thyme.jp/koide/
Email. k.koide@docomo.ne.jp

山の中にある設計研究室