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小出兼久の煉瓦物語 【第7回 煉瓦の美】

小出兼久の煉瓦物語

【第7回 煉瓦の美】

コロナ禍で現在は海外旅行もままならないですが、解禁されたら行ってみたいところがいくつかあります。

まずは、煉瓦の美と呼ばれるフェラーラ( Ferrara)、煉瓦造りの建物で名高いイタリアの街です。エミリア・ロマーニャ地方にあり、ちょうどアドリア海沿岸から1時間ほどのところに歴史的な街フェラーラがあります。ここは、ボローニャとヴェネツィアを結ぶルートにあるルネサンス美術の街だそうで、現在はサイクリングの街としても知られています。調べたら市内には一人当たり2.5台の自転車があり、年齢を問わず、誰もが自転車を利用しているそうです。
サイクリングで回ることのできるこの街はどのような姿なのかというと、完全に煉瓦で造られ、今も昔のそのままの煉瓦に囲まれています。市の中心部には当時の有力者エステ家によって1385年に城が建てられましたが、すべて煉瓦で建てられたものです。写真は、敷石で覆われた狭い通りを自転車が走る様子で、現代なのにどこか中世の雰囲気が漂っています。なぜか日本の路地裏を思わせます。徒歩もいいですが、自転車での街めぐりも楽しいですよね。ヨーロッパは、重くて冷たい大理石や石で建てられた中世から続く都市がたくさんあるのですが、それとは異なり、フェラーラは造りの建物が控えめで温かみのある雰囲気を与えています。これはおそらく細かな煉瓦の連なる雰囲気が温かみを醸し出すのだと思うのですが、ユニークなまさしく唯一無二の都市という感じです。フェラーラの煉瓦建物のほとんどは狭くて長い構造になっているそうで、その中世から変わらぬ様子が現在では注目されています。

ダイムハウス
オランダの煉瓦の美は、歴史的な煉瓦とアーティストのコラボレーションに関心があります。アーティストのマージェット・ウェッセルズ・ボーアは、オランダで最初の住宅プロジェクトの1つ、アムステルダムのダイムハウスで個人的物語や歴史的な物語を収集しました。住宅にはさまざまな家族の物語があります。マージェットは、それらをひとつひとつ拾い上げてアルミニウムのシルエットに変換し、煉瓦の仕切りで囲まれた中に設置しました。煉瓦のフレームが一軒一軒の家にも見えます。中に置かれたアルミのオブジェそれぞれが、家々の物語を語っているのだと思います。それがどのようなものなのか、実際にこの目で見て、感じてみたいと思っています。

最新の技術から生み出される煉瓦の美
中世から続く煉瓦都市のように、煉瓦というと古臭いイメージがありますが、最近、煉瓦を使って冒険をしているデザイナーが増えてきていて、特に建築家からのアプローチはとても面白いと思っています。中でも、アメリカの建築家、ジンジャークリーグドシエの挑戦は、特に驚きをもって見つめています。写真の一見シンプルなフォームは、煉瓦でつくられており、驚くほど現代的なデザインになっています。これを造るためには、コンピューター上で正確な煉瓦のレイアウトを3Dでモデル化しなければならないそうです。どうやって施工をするのか興味がありますが、それについても彼女は教えています。

ドシエと言えば、焼かない煉瓦を生み出した先駆者でもあります。彼女は2010年に、微生物によって誘発されたカルサイト(方解石)沈殿物というのを用いて、建設用の煉瓦を作り出しました。この作り方では、従来の煉瓦製造のように窯で焼成する必要がありません。製造方法をざっくり言うと、尿素と塩素カルシウムと微生物を混ぜた溶液を、あらかじめ砂が層状に詰められた長方形のフォームに注ぐと、数日の間に微生物が化学連鎖反応を起こし、砂を結合して煉瓦にするミネラルを生成するというものです。ドシエは、この煉瓦をバイオセメントと呼び、この方法で煉瓦を造るなら毎年8億トンの炭素排出を削減できると見積もりました。メトロポリス次世代デザインコンペティションで優勝した彼女は、現在はbioMASONという新興バイオテクノロジー企業のCEOを務めています。新しい挑戦も興味深いです。

小出兼久の設計研究室では、庭の相談の他、あなたの庭の大きさに合わせたピザ釜の制作も承っております。

燃料(薪・木炭・ガス)に応じて釜の構造が異なりますので、詳細は打ち合わせください。(地域の法令で可能な燃料を使用いたします)

窯の大きさは直径30cmまでのピザなら焼くことができるもので、設置場所、デザインなどは庭に合わせたオーダーメイドです。お気軽にご相談ください。

小出兼久 ランドスケープアーキテクト,ASLA, 岡山県立大学非常勤講師

BLOG :http://koidekanehisa.thyme.jp/koide/
Email. k.koide@docomo.ne.jp

山の中にある設計研究室