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煉瓦物語【第1回 煉瓦はとても魅力的である】

小出兼久の煉瓦物語【第1回 煉瓦はとても魅力的である】

最近、煉瓦の魅力にはまりました。

ランドスケープアーキテクチャという私の仕事は、緑を用いて外の景観をつくることで、煉瓦とも密接な関係を持っています。しかしそれまでは、煉瓦は建物、あるいは景観を創るための一つの材料だと思っており、それ以上の特別な目で見ることはありませんでした。ところが昨年、グリーンインフラという新しい環境緑化の方法を実践する過程で、透水性舗装の可能性に気づきました。そして現在は、調べれば調べるほど、煉瓦の魅力にはまっています。煉瓦は魅力的で、無限の可能性を秘めた材料だと思います。

例えば、煉瓦の家は、冬は暖かく夏は涼しいです。

猛暑や厳冬に対応した快適な暮らしを、煉瓦が提供してくれるのです。煉瓦の家は重厚感があり、外見が緑とよく合うだけでなく、気候の変化にも対応します。つまり、この古き昔から続く素材が、気候変動が問題となっているこの時代の最先端を走っているといっても過言ではありません。煉瓦は、見た目の美しさだけでなく断熱効果を、ひいては夏や冬の冷暖房費の節約をもたらしてくれるのです。

いつかは土に還る素材であること、環境に優しいこと、無限のデザインの可能性があること、透水性舗装にすればヒートアイランド対策になること……など、私が煉瓦に興味を持った理由は挙げればきりがありません。煉瓦の歴史を学び、世界の煉瓦事情を知れば知るほど、その魅力に取りつかれてしまいました。煉瓦という素材は、本当に不思議な魅力に満ちています。

皆さんは、煉瓦を日本にはなじみのない素材だと思っていませんか。かくいう私も、煉瓦なんて西洋の素材だからと、若干距離を置いていたようです。もちろん煉瓦は西洋から入ってきた文化ですが、日本にも煉瓦をつくっている会社があります。しかも、今の日本に、100年以上前から続いている煉瓦製造会社があると知ったら、皆さんも驚かれるのではないでしょうか。私はそのことに、日本にも煉瓦が馴染んでいるのだと興味を抱かせられた次第です。

思いおこしてみてください。
幕末から明治、大正の初頭にかけて、日本でも多くの煉瓦建物が造られました。東京駅の赤煉瓦駅舎、富岡製糸場、横浜赤煉瓦倉庫、北海道庁旧本庁舎、広島陸軍被服支廠……こうして名前を挙げた他にも、日本各地に煉瓦の建物は存在しています。これが面白いこと。私はいつのまにか見知らぬ土地を歩いた時に、煉瓦の建物を探して歩いている自分に気づきました。これが、とても興味深いです。煉瓦の組み方ひとつ、デザインひとつとってみても、さまざまなものがあります。同じデザイナーとして、煉瓦の建物はインスピレーションの宝庫ではないかと思います。ぜひ日本各地の煉瓦の建物を巡って歩きたいと思いましたが、今では、いっそのこと世界中の煉瓦建物を見て歩きたいと考えています。チェコ、ブルガリア、ルーマニア、イタリア、あれこれと地図の上で旅の計画を練って楽しんでいます。

この連載では煉瓦の魅力についてお伝えしていきます。時には世界の事例や活用法について紹介し、煉瓦の面白さや建材や景観材としての魅力をお話していきます。

今でこその煉瓦の意味
私たちの社会はもう、昔のように何も考えずにエネルギーを使って、どんどん生産すればよいというものではなくなってしまいました。気候の変化であるとか二酸化炭素の排出量であるとか、そういうものに敏感な時代です。環境を傷つけず、生活を豊かにする方法を考えていかねばなりません。ところが、この環境を傷つけて物をつくりはじめたのは、大きくは産業革命以来のことなのです。それまでのモノ作りは、家づくりも含めて環境に優しいものでありました。その最たるものが、古くから続いている土壁あるいは泥レンガと呼ばれる工法でした。それは、現在の私たちがよく知る煉瓦の形をしていませんが、煉瓦の祖先と呼んでもいいかもしれません。あるいは、泥煉瓦というのは焼いていないだけなのです。それらは、現在の私たちがよく知る煉瓦の形をしていませんが、煉瓦の祖先と呼んでもいいかもしれません。あるいは、泥レンガというのは、焼いていないだけなのです。この土壁と泥レンガから、煉瓦の話をしていきます。

=追伸=

お庭の相談を受け付けますのでご遠慮なく。

小出兼久 ランドスケープアーキテクト,ASLA, 岡山県立大学非常勤講師

BLOG :http://koidekanehisa.thyme.jp/koide/
Email. k.koide@docomo.ne.jp

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