煉瓦物語/煉瓦について知っているようで知らないこと
煉瓦についてことあるごとにその良さを振り返っています。
今回は、簡単に煉瓦の製造からまとめてあるので、今まで知らなかったことがあれば参考にしてください。
煉瓦は、木材を別にすれば他のどの材料よりも、建築物の建設によく使用されています。西洋建築にとって煉瓦や素焼き煉瓦の建物は圧倒的な存在を誇り、事実、あらゆる色や形のさまざまな種類の煉瓦を製造するために、大きな産業が発展し、投資されてきました。また、煉瓦は多くの技術を育て、多くの事物を発明し開発しました。今では、近代的な機械や土木機械、強力な電気モーターなどによって、煉瓦の製造は生産的で効率的なものになっています。煉瓦の原料には、粘土のほかケイ酸カルシウムやコンクリートなど、さまざまなものがあります。そして、ソフトマッド、ドライプレス、押し出しの3つの工程で製造されるのが一般的です。2007年には石炭火力発電所の副産物であるフライアッシュ(石炭の燃焼で生じる灰の一種)を使った新しい煉瓦も誕生しています。
良質な煉瓦とは
それは、信頼性が高く、耐候性に優れ、酸や汚染、火災にも強いので、このような利点から、石材と比べて大きなアドバンテージがあります。煉瓦は、色や大きさ、形など、どのような仕様にも対応でき、実際、石材よりも簡単に施工することができます。また、煉瓦造りというのは、切石で作ったものよりもはるかに安価です。ただし、煉瓦は基本的に多孔質のものなので、水にさらされるとそれを吸い取り、湿気に弱いという欠点があります。ただ、その(硬度などの)性能も選ぶ煉瓦に左右されるので、見極めが必要です。どのような工事であっても、最良の結果を得るためには、工事の仕様に合った煉瓦をえらばなければなりません。
煉瓦の構成
建築用の煉瓦というのは、粘土と砂の混合物に水を加え、適切な硬さにしたものです。さらに、石灰や灰、有機物などが加えられていることもあり、なぜこうした物質が加えられるのかというと、これらは煉瓦の燃焼を促進させるからです。この粘土の混合物を型に入れ、必要な大きさに成形し、乾燥させ、窯で焼く、すると煉瓦ができあがります。煉瓦の性質と品質は、使用する粘土の種類によって異なってきますが、日常的なものに最もよく使われるのは砂状の粘土で、ケイ酸塩やアルミナ、少量の石灰や酸化鉄を含むものであります。シリカが砂の形で粘土に加えられると、ひび割れ、収縮、反りを防ぐことができます。もしも砂の割合が多ければ、煉瓦の質感はよくなり、形もよくなります。しかし、砂が多すぎるともろくなり、凝集力がなくなってしまいます。そのため、一般に、シリカを25%配合すると良いと言われています。粘土に含まれる酸化鉄は、シリカとアルミナの融合を可能にし、煉瓦の硬度と強度を大幅に向上させるものです。鉄分は煉瓦の色に反映され、それによって煉瓦は赤色を帯びます。赤色に焼けた煉瓦は、白や黄色に焼けたものよりも丈夫な煉瓦になります。さらに、煉瓦に含まれる石灰についてですが、これには2つの効果があります。ひとつは、煉瓦の収縮や乾燥を防ぐ効果で、もうひとつは焼成時にシリカを溶かし、煉瓦を構成するすべての成分を結合させる融剤として働くという高価です。しかしまた、これも石灰成分が多すぎると、煉瓦が溶けて形が崩れてしまうことがあります。また、石灰のうち生石灰が多く含まれていると、煉瓦が粉々に割れてしまうことがあります。こうしてみると、煉瓦の品質というのは構成する成分の配合によって易々と損なわれてしまうもので、前近代の時代から工業化オートメ化を行ってきた産業として、最新の配合で最新の注意を払って、現代では高品質な煉瓦が生み出されていることがわかります。プレス煉瓦の品質を高めるために、粘土の色と成分は慎重に選択されているのです。そのために異なる産地の粘土を混ぜて配合するということも行われています。
持続可能な住宅のダンシングウォールと名付けられた煉瓦壁/室内を夏涼しく冬暖かい空間にさせる
フロンヴィルホームズ名古屋の手がける煉瓦の家
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▶著者情報/小出兼久
特定非営利活動法人日本ゼリスケープデザイン研究協会(JXDA)代表理事。ランドスケープアーキテクト(ASLA)。1990年代よりランドスケープにおける水保全の研究を始め、2003年の第3回世界水フォーラム京都会議では分科会「庭から水、世界を考える」を主催し、成果の発表と日本で初めてランドスケープにおける水保全の必要性を提唱した。2005年第10回ゼリスケープ会議(米国ニューメキシコ州)および低影響開発国際会議シアトル・アジア地域(米国ワシントン州)に日本から初めて出席。2010年には生物多様性国際条約フェア(COP10国際会議と併催)に出席し、以来、低影響開発の普及を目指して活動を続けている。ランドスケープアーキテクトとして雨の庭を実践した作品群は日本や海外で生物学的な受賞歴を持っている。
建物と庭のトータルデザインを手掛ける点でフロンヴィルホームズ名古屋とは考えがマッチし、特に煉瓦の家に関するプロジェクトに興味を持っていただき、コラムの連載が実現しました。
また、当社のフロントガーデンの一角に、日本初・名古屋初の「雨の庭」のモデルガーデンを施工していただきました。