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2024.08.12

小出兼久コラム

煉瓦物語/住宅トレンド(番外編)

3回にわたってトレンドを紹介しましたが、今回は番外編として「イケてないもの」、あまりお勧めできないデザインについて紹介します。
こちらの方は、トレンド以上に個人の嗜好に左右されるため、あくまでも参考程度の項目です。なぜなら、おそらく誰もが、自分の家にその個人や家族の個性を思わせる何かを持っているわけですから、それをとやかく言う権利は誰にもないと考えています。

とはいえ、個性を出そうとしてそれが他人に少し薄っぺらく映ってしまうとしたら、失敗したとしたら、それも残念なことではあります。
そんな観点から、次の10項目を挙げています。

1.ワードアート
2.花崗岩の使いすぎ
3.アニマルプリントの使い方
4.コーナーバス
5.暖炉の上にテレビを置く
6.特大時計く
7.シダ植物
8.チェック柄(格子縞)
9.個性のないギャラリーウォール
10.むき出しの白い壁

1.ワードアート

端的に言って、ワードアートを飾るなということです。
例えば、リビングに「LIVINGROOM」なんて切り文字をぶら下げる人はいないでしょう。しかし、キッチンに「KITCHEN」の文字をぶら下げてみたり、庭に「GARDEN」と書かれた大きなワードアートを飾ってしまうのは、アメリカ人でも意外と行ってしまうことであります。しかし、考えてみれば、確かに私たちも和室に「和室」とは書きません。ここで言いたいことは、つまりそういうことなのだと思います。
どうでしょう。
「GARDEN」……割とやってしまうことだと思いますが。

2.花崗岩の使いすぎ

室内建材の中にあって、単一の材料で一番多く使われている(多く=よく出現する)ものは花崗岩と言われます。2000年代初めからすでにその傾向がありました。キッチンに暗い色調の花崗岩が使われることがよくありました。とはいえ、今日のトレンドでは花崗岩の使用は控えめに、アクセントとしても、より軽い素材を使用したミニマリストを表現するような、モダンな美学が好まれています。

3.アニマルプリントの使い方

クラシックカントリールームにアニマルプリントを追加することはNG。
これは、かなり具体的な事例です。米国のインテリア&エクステリア雑誌界の大御所『ホーム&ガーデン』に、こんな注意表記が見られます。「家をモダンな農家やカントリースタイルにしたいのなら、アニマルプリントがないようにしてください」
TPOを考えなさいというもっともな指摘ですが、どうでしょう。私はやりたいように好きなようにするのが一番だとも思います。

4.コーナーバス

バスルームに設置する浴槽として、コーナーバスという選択肢は総じて評判が悪いです。曰く、ファッショナブルではない、空間の無駄使い、デザインの幅がなく選択肢に欠ける、現代的なスタイルにも伝統的なスタイルに適合していない、などなど。コーナーバスに多くの反対意見があるというわけです。

5.暖炉の上にテレビを置く

ミスマッチといいますか、昔と今のこのような形のごちゃまぜを嫌うデザイナーは多いです。可能であれば、テレビは暖炉の上ではなくて左側または右側に置くのがよく、理想的なのはキャビネットの中に隠しておくことである、と言われます。この、現代の家具が伝統的な室内の雰囲気を損なわないようにするという示唆は、あらゆる場面で参考になるでしょう。

6.特大時計

時計は時間を知るための重要なアイテムですが、より目立たない方法でインテリアに統合させるのが現在のトレンドとなっています。

7.シダ植物

米国や海外であると、室内に観葉植物を置くのは日常的な風景です。しかし、そうはいっても何事もやりすぎは禁物だということで、あらゆる部屋に、あるいはあらゆるテーブルに、シダを置くのはさすがにやりすぎであると、インテリアデザインの雑誌は咎めています。
「リビングルームを温室のように見せかける必要はない」のです。
さらに、「そのすべてに水やりをする労力について考えてみてほしい」と言っています。
日本ではさすがにここまですることはないでしょう。むしろ、室内にもっと緑をと思うことがあります。とはいえその際に、(毎日ではありませんが数日に1回程度の)水やりが必要なことは言うまでもありません。

8.チェック柄(格子縞)

70年代のレトロブームが来ています。かっこいいです。しかし、ここでもチェックのベッドカバーと壁紙のように、やりすぎはよくありません。

9.個性のないギャラリーウォール

ここで言われるギャラリーウォールというのは、プリント壁やデザイン壁のことです。そうした装飾性の高い壁を設けるというのならば、その成功の秘訣は、時間をかけてお気に入りのプリントを収集することだというのです。

10.むき出しの白い壁

白のキャンバスをそのままにしておくのは魅力的に思えるのかもしれませんが、インテリアデザインの初心者でないことをきどるとしたら、「真っ白な壁をむき出しにして個性を欠いたままにしないほうがよい」と言う、デザイナーの側にも一理あります。人気インテリアデザイナーのティファニー・リーは、真っ白な壁が今後も室内壁のトレンドであり続けると見越したうえで、合いじゃくり加工された木材や漆喰仕上げの壁など、同じ白い壁でもテクスチャ要素を備えたものに関心が集まるようになると予測しています。


どうでしょうか。
ここで大事なことは、このような好悪も含めた住宅のトレンドの情報を眺めておくことで、す。それらは、自分の思いをはっきりさせるのに役立ち、あなたが住宅について悔いのない選択をすることを助けてくれることと思います。


フロンヴィルホームズ名古屋の手がける煉瓦の家
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▶著者情報/小出兼久

特定非営利活動法人日本ゼリスケープデザイン研究協会(JXDA)代表理事。ランドスケープアーキテクト(ASLA)。1990年代よりランドスケープにおける水保全の研究を始め、2003年の第3回世界水フォーラム京都会議では分科会「庭から水、世界を考える」を主催し、成果の発表と日本で初めてランドスケープにおける水保全の必要性を提唱した。2005年第10回ゼリスケープ会議(米国ニューメキシコ州)および低影響開発国際会議シアトル・アジア地域(米国ワシントン州)に日本から初めて出席。2010年には生物多様性国際条約フェア(COP10国際会議と併催)に出席し、以来、低影響開発の普及を目指して活動を続けている。ランドスケープアーキテクトとして雨の庭を実践した作品群は日本や海外で生物学的な受賞歴を持っている。

建物と庭のトータルデザインを手掛ける点でフロンヴィルホームズ名古屋とは考えがマッチし、特に煉瓦の家に関するプロジェクトに興味を持っていただき、コラムの連載が実現しました。
また、当社のフロントガーデンの一角に、日本初・名古屋初の「雨の庭」のモデルガーデンを施工していただきました。