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2024.07.01

小出兼久コラム

煉瓦物語/住宅トレンド

米国における住宅トレンドを紹介する今回(3回目)は、次の6.キッチンから10.ミニマリズムまでについて、説明をします。

住宅設計におけるトレンドTOP10(2022年)

6.キッチン
7.家具は曲線の家具が好まれる
8. 在宅勤務のための仕様
9.ヘリンボーン
10.ミニマリズム

6.キッチン


新型コロナウィルスの流行は、私たちの日常を新しい日常へと変え、あちこちにその影響を波及させました。建物とそれを取り巻く空間がコロナ禍を経てどう変わったのかは、前回のバスルームやアウトドアリビングの項目を参照ください。
その波は、キッチンにも及んでいます。外出制限などの憂き目にあって、キッチンは、今や家の中にある新しいエンターテインメントのメッカ(聖地)のひとつであるというのです。米国の煉瓦企業ACME BRICKは、その証拠として、ダブルアイランド(島型)キッチンを、キッチンで最も注目されているデザイントレンドに取り上げました。
アイランドキッチンというのは、それまで壁面にくっつくように取り付けられていたキッチンを開放型の対面式の、さながら島のように配置したものをいいます。それを2つの島の形で設置するのがダブルアイランドキッチンです。
ウォールストリートジャーナルは、ダブルアイランドキッチンについて、1つは食事を準備するためのもので、もう1つはパーティなどの集まりと娯楽のためのものであると述べています。「島を二重にしたことでディナーシアターの要素があります」と、シカゴのデザイナーのマーシャル・エルブは述べています。また、新聞は次のように付け加えています。「パンデミックが私たちの生活に影響を与え、台所の方程式を変えました。非常に柔軟なスペースの需要が高まるにつれ、ダブルアイランドは『専業主婦、学校教育、料理、食事の場』になりました」
このトレンドはディナーをショー(エンターテインメント)にし、そしてそこに新しい意味を与えることになる、とACME BRICKは結んでいます。

7.家具は曲線の家具が好まれる


「パンデミックによって、好まれる家具の形も変わりました。すなわち、私たちの生活には柔らかさが必要だというのです」
この見解が、曲線美を持つ家具が非常に多く用いられているというインテリアデザインのトレンドについて、十分な説明をしているのかもしれません。ある出版物は、曲線的な家具の魅力について次のように述べています。「柔らかいエッジ(縁)の家具や装飾は、女性的で寛容です。部屋にロマンチックな雰囲気を与えながら、アングルピース(※建材を補強するアングルのこと)のような人工的で無機質な直線を補完することができます」
丸みを帯びた家具もまた、近代から復活したトレンドですが、今回流行っている曲線美には、豪華なC字型のソファだけでなく、ソフトなエッジのテーブルから再考された近代に流行した椅子まで、何でも含まれています。 また、1970年代のレトロな外観への回帰も家具でみられるトレンドの1つです。焦げたような濃いオレンジ、モスグリーンのような温かみのある提案が、新進気鋭のインテリアを明るくしているといいます。

8. 在宅勤務のための仕様


同じくコロナ禍で2020年に始まった在宅勤務へのトレンドが勢いを増しています。一部の人々が実際のオフィスに戻ろうとしている今にあっても、米国でこのトレンドは続いています。設計者が提唱するのは「ホームオフィスにはさまざまな形と大きさがあるが、その目的はあなたのスペースをあなたのために機能させることだ。したがって、自分のオフィスを設計しようとするのなら、機能性も実用性も大事だが、美観も同様に重要であることを忘れないといい」ということです。今では、1つの空間に多機能、多目的を持たせることは日常的になっていますが、それでもオフィスの主役は自分であることを忘れない空間づくりが必要だと考えます。

9.ヘリンボーン


フローリングほど家の機能性を示す要素はほかにないと言っていいでしょう。フローリングのヘリンボーンパターンというのは、なんでも、ローマ帝国で最初にその記録がみられるそうです。これはなんとも昔から、人々はフローリングもヘリンボーンパターンも好んでいたという証左ですね。まさに時代を超越しています。
曲線的な家具がもてはやされ、近代家具が再度脚光を浴びる中で、ヘリンボーンパターンのフロアも、ホットなトレンドになっています。この傾向はしばらく続くとみられます。ヘリンボーンパターンだけでなく、幾何学模様の床全体が、2022年の家の装飾のトレンドに戻ってきています。成功するフローリングについていえば、パターン(張り方)に凝るなら色は抑え、形に話をさせることです。とはいえ、建材特に木材は引き続き不足しています。

10.ミニマリズム


ミニマリズムも、それが登場した1990年代後半から今なお人気を誇っているトレンドですが、家のデザインと装飾の中で、ミニマリズムのポジティブな視覚的影響をどう称賛し、どう取り入れるのか。それは設計者にとって大きな課題であるでしょう。
ある意味面白い試みとも言えますが、それは部屋の多機能性を引き出すために、部屋の中心的な目的を強調することでもあります。そうすることで、基本的な日常の使い方、雑用に簡単に集中できるといいます。


フロンヴィルホームズ名古屋の手がける煉瓦の家
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▶著者情報/小出兼久

特定非営利活動法人日本ゼリスケープデザイン研究協会(JXDA)代表理事。ランドスケープアーキテクト(ASLA)。1990年代よりランドスケープにおける水保全の研究を始め、2003年の第3回世界水フォーラム京都会議では分科会「庭から水、世界を考える」を主催し、成果の発表と日本で初めてランドスケープにおける水保全の必要性を提唱した。2005年第10回ゼリスケープ会議(米国ニューメキシコ州)および低影響開発国際会議シアトル・アジア地域(米国ワシントン州)に日本から初めて出席。2010年には生物多様性国際条約フェア(COP10国際会議と併催)に出席し、以来、低影響開発の普及を目指して活動を続けている。ランドスケープアーキテクトとして雨の庭を実践した作品群は日本や海外で生物学的な受賞歴を持っている。

建物と庭のトータルデザインを手掛ける点でフロンヴィルホームズ名古屋とは考えがマッチし、特に煉瓦の家に関するプロジェクトに興味を持っていただき、コラムの連載が実現しました。
また、当社のフロントガーデンの一角に、日本初・名古屋初の「雨の庭」のモデルガーデンを施工していただきました。