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2024.06.01

小出兼久コラム

煉瓦物語/住宅トレンド

米国における住宅トレンドを紹介する今回(2回目)は、次の2.健康な家から5.アウトドアリビングまでについて、説明をします。

住宅設計におけるトレンドTOP10(2022年)

1.持続可能性
2.健康な家
3.多機能性
4. バスルーム
5.アウトドアリビング
6.キッチン
7.家具は曲線の家具が好まれる
8. 在宅勤務のための仕様
9.ヘリンボーン
10.ミニマリズム

健康な家

住宅とは私たちが日々健康的に暮らすための基盤であり、だからこそ家自体が健康であることはとても重要で、トレンドの2番目に挙げられるのももっともなことです。

もしも新築の家に入ると目がちかちかしたり、気分が悪くなったり、咳やのどの痛みが生じたり……となるのであれば、これはシックハウス症候群の代表的な症状です。この症状は、ホルムアルデヒドという揮発性の物質が、家具や建材の接着剤、塗料などに100μg/㎡以上の濃度で含まれていると起こりやすいもので、ホルムアルデヒド自体は、それこそ多くの建材や家具に含まれる物質なのですが、2003年の改正建築基準法ではその使用に制限が設けられています。そのため、JISやJASの基準に従っていれば、その住宅はホルムアルデヒドが拡散されにくい造りとなっています。ですから、ここで改めて気を付けたいのは輸入家具・輸入建材などです。

また、それ以上に「健康な家づくり」としてホットなトレンドがあります。それは、現在の新型コロナウィルス禍と無関係ではありません。最近はその対策となる多くの新製品が、設計者や建築業者から提供されているのです。

2022年にホットな建材や設計をいくつか挙げておくと、まずは、家庭内に広がる可能性のある病原体の数を減らすタイルがあります。Microban®を使用したPROTECT®セラミックタイル製品は、バクテリアの代謝をブロックします。また、Landseaというビルダーは、空気の質を上げ、呼吸の健康を可能にする、「家全体」を空気清浄機としてとらえた住宅を提供しています。アメリカ建築家協会の最新の住宅設計動向調査によれば、コロナウィルスのパンデミックが、今も私たちの生活空間に強力な影響を及ぼし続けているのはあきらかですが、一方で、他の自然災害も住宅に影響を及ぼしており、協会の四半期ごとの調査では、屋外空間を自然災害に強いものへと改善することや、バックアップ発電機の整備、ハリケーンに強い設計など、安全機能に対する需要が急増していることも示されています。

多機能性


多機能性、すなわち複数の機能を空間に持たせるということは、パンデミック後により顕著なものとなっています。なにしろ空間には限りがあるので、今ではひとつの目的のために使われる使い捨てのスペースというのは過去のものとなり、建築とデザインの進歩は、ひとつの空間を多機能ルームにするための気の利いたアイデアを提供することが期待されている、とデザイン雑誌は述べています。

この多機能性は家具にも当てはまります。また、オフィスと運動スペースを兼ねる試みは、住宅でも行われています。写真は住宅のパーソナルオフィスにフィットネス家具をうまく落とし込んだ例です。

バスルーム

 

コロナ禍にあって米国で大きく変化した空間がふたつあります。ひとつは、バスルームです。Houzz誌の「Bathroom Trends」調査によると、それまでひどく退屈であったバスルームは変わりつつあるのだそうです。

例えば、ニューヨークの建築家であり、Architecture&Design社のインテリアデザイナーでもあるアダム・ロールストンは、最近はバスルームがブームだと言います。バスルームは、日々の生活を過ごすにあたって重要な場所となっており、そのサイズは、過去と比べて約10〜15パーセントも増加していると、彼は言います。デザインとしては、たとえば宮殿のようにエレガントなリビングスペースとして装飾する向きが多く、懐古趣味と前衛主義を混ぜ合わせたようなものがトレンドで、ロールストンの最近のプロジェクトでも新古典派の木工製品をタイル張りの壁と組み合わせています(※写真はまた別の作家の作品)。

アウトドアリビング

コロナ禍ではソーシャルディスタンスが話題です。その影響もあって、米国の住宅では屋外でバーベキューなどの「料理の喜び」が見直されています。住宅に付帯する屋外空間(アウトドアリビング)は、まさしくエンターティメント空間として、熱狂的に歓迎されています。
American Institute of Architectの2021年の調査では、アウトドアリビングはトップトレンドであり、回答者の屋外スペースの需要は昨年と比較して61%から70%に増加していました。

この傾向は2022年も引き続いています。この調査では、屋外の空間を家の内部まで持ち込むことで、「2022年は自然に触発された外観からさらに一歩進んで、本物の緑をもたらす」と示唆されていますが、この傾向は2023~2024年も続くとみています。

次回は、6.キッチンから10.ミニマリズムまでについて、説明をします。


フロンヴィルホームズ名古屋の手がける煉瓦の家
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▶著者情報/小出兼久

特定非営利活動法人日本ゼリスケープデザイン研究協会(JXDA)代表理事。ランドスケープアーキテクト(ASLA)。1990年代よりランドスケープにおける水保全の研究を始め、2003年の第3回世界水フォーラム京都会議では分科会「庭から水、世界を考える」を主催し、成果の発表と日本で初めてランドスケープにおける水保全の必要性を提唱した。2005年第10回ゼリスケープ会議(米国ニューメキシコ州)および低影響開発国際会議シアトル・アジア地域(米国ワシントン州)に日本から初めて出席。2010年には生物多様性国際条約フェア(COP10国際会議と併催)に出席し、以来、低影響開発の普及を目指して活動を続けている。ランドスケープアーキテクトとして雨の庭を実践した作品群は日本や海外で生物学的な受賞歴を持っている。

建物と庭のトータルデザインを手掛ける点でフロンヴィルホームズ名古屋とは考えがマッチし、特に煉瓦の家に関するプロジェクトに興味を持っていただき、コラムの連載が実現しました。
また、当社のフロントガーデンの一角に、日本初・名古屋初の「雨の庭」のモデルガーデンを施工していただきました。