蝶が訪れてくれる庭は健康な庭!健康な庭づくりのヒント
蝶が好む植物の一例を挙げておきますので、参考にしてください。
いずれも育てやすく病害虫に強い物がほとんどですが、モナルダだけは注意が必要です。
蝶を庭に呼ぶための植物とは
目次
・ブッドレア
・ランタナ
・モナルダ(ビバーナム、ヤグルマハッカ)
・エキナセア
・ディリリー(ヘメロカリス、キスゲ)
・セージ
・クロコスミア
ブッドレア
低木で、放っておくと人の背丈以上に育ちます。常緑または半常緑。耐寒性もそこそこあり、長野の、冬に積雪のある地域でも耐えられます。ただ、幹は雪の重さで折れることがあります。しかし、そこからの復元力(萌芽力)は強く、幹が残っていればその年の夏には再び枝葉が生い茂り、花をつけます。大きくなりすぎたら剪定します。
ランタナ
低木、半常緑で時に落葉します。暖地に適し、寒冷地には向きません。また、暖地であっても寒さや霜で冬に葉が全部枯れることがあります。しかし、一見、枯れ枝に見えていても春になると芽吹き茂り、花をつけるようになります。樹姿は野放図で乱れやすいため、望まない形や大きく育ちすぎたと思ったら、随時剪定します。剪定はいつでもできますが、基本は花後がよいでしょう。とげがあるため手入れの際には手袋をします。
モナルダ(ビバーナム、ヤグルマハッカ)
宿根草。冷涼な地域で、水はけのよい土、湿度の低い場所を好みます。別名が多く、タイマツバナとも呼ばれ、その名のとおり松明が燃え盛るような形の花を咲かせます。店舗で購入するならハーブコーナーにあります。モナルダは、風通しが悪かったり湿気が多すぎたりすると、葉が白い粉をかけたようになるうどん粉病にかかりやすくなります。風通しのよい明るい日なたに植えることをおすすめします。
エキナセア
宿根草。花の色は濃いピンクが一般的ですが、黄色系や暖色系もあります。育てやすく、生長は早くなく、横にボリュームがでるのには時間がかかります。日陰にも耐え、特に病害虫はなく、手がかからない植物なのですが、日本では数年で忽然と消えてしまいやすいです。日当たりと風通しのよい、水はけのよい土を好みます。
ディリリー(ヘメロカリス、キスゲ)
宿根草。ニッコウキスゲの仲間で、花の色も黄色、オレンジ、エンジなどさまざまです。花は一日花ですが次々と咲き続けます。育てやすく、日陰にも耐え、また、品種も背の低い矮性種から1mになる大型種までさまざまあり、好みの色や自分の庭にあったサイズの品種を求めることができます。湿り気のある有機質の多い土を好みます。
セージ
宿根草。セージというのはサルビアの仲間です。写真はコモンセージの花です。セージは、日当たりよく、乾燥気味に育てるのが好ましいのですが、湿気や日陰に耐える種類もあります。目安として、コモンセージなどの葉が白っぽく細かい産毛のある品種は、そうでないチェリーセージやメドウセージのような品種よりも、日向の乾燥した植えるようにします。
クロコスミア
初夏に花を咲かせる球根。性質は丈夫で植えっ放しで良く育ちます。明るい緑の葉と鮮やかな赤の花のコントラストは美しく、さらに、アメリカではよくラベンダーと一緒に植えられているのが見られます。この青と赤のコントラストも美しいです。手間いらずですが、横幅のボリュームに育つには2、3年は必要です。
蝶の幼虫を育てる植物とは
それぞれの蝶にそれぞれの食餌植物があります。中には、モンシロチョウのようにアブラナやキャベツなど、葉物野菜が被害にあって困る場合もあります。アゲハチョウが卵を産み付けるのは柑橘類で、カラタチ、柚子、キンカン、ミカン、ハナユ、レモンなどがそれにあたります。柑橘類は暖かい地方が適していて、寒冷地ではミカンやレモンなど育たないものもあるので、地域で手に入る品種を植えてください。
蝶が訪れてくれる庭も、健康な庭のひとつです。蝶にはすぐに気が付きますが、それ以外にも実は、トカゲやアリや蜂など、意外といろいろな生き物が庭には生息しています。どうか、あなたの庭をじっくりと見つめてみてください。
著者情報
小出兼久
特定非営利活動法人日本ゼリスケープデザイン研究協会(JXDA)代表理事。ランドスケープアーキテクト(ASLA)。1990年代よりランドスケープにおける水保全の研究を始め、2003年の第3回世界水フォーラム京都会議では分科会「庭から水、世界を考える」を主催し、成果の発表と日本で初めてランドスケープにおける水保全の必要性を提唱した。2005年第10回ゼリスケープ会議(米国ニューメキシコ州)および低影響開発国際会議シアトル・アジア地域(米国ワシントン州)に日本から初めて出席。2010年には生物多様性国際条約フェア(COP10国際会議と併催)に出席し、以来、低影響開発の普及を目指して活動を続けている。ランドスケープアーキテクトとして雨の庭を実践した作品群は日本や海外で生物学的な受賞歴を持っている。
建物と庭のトータルデザインを手掛ける点でフロンヴィルホームズ名古屋とは考えがマッチし、特に煉瓦の家に関するプロジェクトに興味を持っていただき、コラムの連載が実現しました。