植物を育てることが苦手な方にも必見、庭の頼れる味方をご紹介!
健康な庭というのは手をあまりかけなくても植物がすくすくと育ってくれる庭のことです。このすくすくと育ってくれる植物を沢山みつけることができれば、あなたの庭は健康な庭になるのですが、庭の環境はひとつひとつ異なるので、自分の庭にあった植物を見つけ出さなければなりません。そのときに、役に立つのが他の人の経験なのです。
庭の頼れる味方
例えば今、私の庭の一角で元気に育っているのは、ギボウシとツボサンゴです。
この2つは日本原産の植物で、場所に合えば強健で、手入れもあまり必要のなく、写真のように緑葉の品種だけではないさまざまな色の葉があります。ギボウシやツボサンゴのよさはそれだけではありません。
庭に色を取り入れたいとき、花を植えればよいのでは?と、思う方も多いことでしょう。ですが、花はいつまでも咲き続けてくれるわけではありません。一般には2週間も咲き続ければ長い方で、1か月咲き続けてくれるものは、多くありません。桜の花が、チューリップの花が、何日もつか知っていますか? もって数日というものがほとんどです。ですから、花の咲く期間が2週間や1か月といっても、1つの花がずっと咲いているわけではなく、次々と花が咲くことでその期間になるわけです。そうして、花が終わったら、残りの期間は葉のみになってしまいます。
そこで、庭に色を取り入れるときに注目すべきは、「葉」なのです。なにしろ葉であれば、枯れずに残っている間は、そこに色が存在するのですから。葉を庭に利用しましょう。これは、日陰の庭にもとても役立つ方法です。なぜなら、日陰に強い花は総じて少なく、また、地味になりがちです。その場合、葉で色を表現した方が良い効果を生むことが多いのです。
ギボウシもツボサンゴも日光は当たったほうがよいものの、一日中日なたの場所よりも、午後に(午前に)陰ったり、木の下になるような日陰を好みます。土壌は湿り気のある土壌がよく、腐植質の多い土を好みます。ですから、そのような場所があれば、草花を植えるよりも、ギボウシやツボサンゴを植えてみましょう。
色とりどりの葉は、青緑葉、銅葉(紫葉)、黄金葉、覆輪葉などさまざまです。どう植えたらよいのか、というのは個人のセンスの問題なので、何がよく、何が悪い、ということはありません。が、黄色と青緑、または、黄色と紫葉といった組み合わせのように、明るい葉と暗い色の葉(明暗)を隣り合わせに配置すると、空間に奥行き感がでたように感じさせることがあります。それは、明るい色は飛び出して見え、暗い色は引っ込んで見えるという目の錯覚を利用したものです。黄色の葉と青緑の葉を一か所隣同士で植えたからと言って、奥行き感がすぐ出るわけではありませんが、明暗のコントラスト(対比)は視線を惹きつけます。それを上手く使いながら、青緑葉から緑葉へ同系色の組みあわせの中に埋め込んでいきます。同系色と明暗や反対色を使いながら、「葉」だけで庭に絵を描いてみてください。
▶著者情報
小出兼久
特定非営利活動法人日本ゼリスケープデザイン研究協会(JXDA)代表理事。ランドスケープアーキテクト(ASLA)。1990年代よりランドスケープにおける水保全の研究を始め、2003年の第3回世界水フォーラム京都会議では分科会「庭から水、世界を考える」を主催し、成果の発表と日本で初めてランドスケープにおける水保全の必要性を提唱した。2005年第10回ゼリスケープ会議(米国ニューメキシコ州)および低影響開発国際会議シアトル・アジア地域(米国ワシントン州)に日本から初めて出席。2010年には生物多様性国際条約フェア(COP10国際会議と併催)に出席し、以来、低影響開発の普及を目指して活動を続けている。ランドスケープアーキテクトとして雨の庭を実践した作品群は日本や海外で生物学的な受賞歴を持っている。
建物と庭のトータルデザインを手掛ける点でフロンヴィルホームズ名古屋とは考えがマッチし、特に煉瓦の家に関するプロジェクトに興味を持っていただき、コラムの連載が実現しました。